「コアラのくせに何てしたたかなんだ。」SING シング ネクストステージ ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
コアラのくせに何てしたたかなんだ。
田舎町の小さな舞台でののど自慢大会のような前作から、大掛かりでド派手なSFミュージカルショーになって「SING」が帰ってきた。その飛躍の激しさに目を見張る。地方の小劇団がいきなりラスベガスやブロードウェイでステージをやるようなものか。歌唱だけにとどまらず、舞台、演出、ダンス、アクションなどすべての面でエンターテインメントの最高レベルまで行ってしまった。コアラのムーンが中心人物なのだがいい加減な男である。何のプランもなくエンターテインメントの聖地「レッドショアシティ」まで皆を連れて行って無謀な挑戦に巻き込む。ハッタリで強引に契約を取り付けるがここからが彼の真骨頂である。ムーンは最高の舞台づくりのためにしっかりマネージメントをしてメンバーの力を引き出した。辛い役回りも引き受けた。しかし、それに応えて最高のパフォーマンスをする仲間の「思い」と「実行力」も素晴らしい。ある者は苦手を克服し、ある者は自分の限界を超え、またある者は過去の呪縛から自分を解放する。彼らの地道な努力(?)が丁寧に描かれているから、最後のステージの場面は最高の感動を呼ぶ。
いい加減に見えたムーンからは、自分の熱い思いに他人を巻き込むしたたかさが感じられる。他のメンバーからは自分の道を切り開く逞しさを感じる。
多くの人に、どんな困難も立ち向かえば何とかなるという熱いメッセージを届けることができたと思う。
コメントする