流浪の月のレビュー・感想・評価
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ヨコハマ君と夏の思い出
今さらレビューも失礼ですが、横浜君の演技だけは驚きましたし感銘を受けました。初めは誰だかわかりませんでした。俳優としての決意を感じました。
今頃観たわけですが、公開時は観たい動機はあったんですが、内容が重そうで敬遠してました。
広瀬すずちゃんは大好きだし、ロケ地は今住んでいる街の隣だし、ボランティアで知り合った方がエキストラで参加されていると聞きましたし、もう少し楽しそうな映画だったら劇場行ったはずです。
殺しでもあるのかと思っていたら違ってました。松坂君の性癖は理解すべきが今の時代なんでしょう。玉季(すず)ちゃんの感情は、なんというか、夏の思い出というか、若者が合宿などで強い連帯感や普通じゃないことに没入していく感情に似ているのではと思いました。
作品としては長尺飽きなかったのは見事ですが、すずちゃんと横浜君が引っ張ってくれたからだと思います。
松坂桃李の役者魂
原作を読んでいて、インパクトが強かったので、映画を観たいと思っていたけれど、U-NEXT独占配信だったので観れていなかったが、最近、U-NEXTに入ったので、早速、観てみた。
松坂桃李はここでも役者魂をみせて、ラスト近くに裸になるシーンは「娼年」を思い出した。
ロリコンの男性と一緒に暮らしていた幼女時代のひととき。それは傍目には異常な事態、犯罪と思われても仕方のない事態だが、本人たちがどういう時間を過ごしたかはほぼ無視するかのような他人たち。
本人たちがどう感じていたかとのズレが生じようとも、紆余曲折を経て、一緒になるまでのストーリー。社会派でもあり、情念を描いているようであり、原作の力を感じました。
絶望と希望
絶望とは、人間なら全ての人が、気づいてるかどうかは別として抱いてるものなのです。
カメラワークや色彩は本当美しいし、俳優さんも良かったと思います。ただ、配役もそうですが、監督さんは適任ではありませんでしたね。
私も原作はそこまで好きな作品ではないのですが、とても良い作品だと思っています。だから、これは、酷い。何故こんな風にするのか、こんな改悪するなら、オリジナル脚本でやろーよ。正直意味がわからない。いい加減原作を踏みつけるのはやめてほしい。とても残念です。
これでは、原作の言わんとするところが全く伝わらない。いや、なんなら真逆の展開です。怒りや、悪人の時も思ったけど、この監督さんどーかしてるよ。
是非、原作の最後の方の四章、五章、最終章だけでもいいから、読んでほしい。こんな内容のものではないんです。
原作を読んで思い出したのは、朗読者でした。尊厳は暴くものではなく、守られるものです。安い好奇心に騙されてはいけないと強く思いました。
映画はお勧めしません。原作は割と読みやすいので、機会があれば。
互いを必要とする《愛の形》
「ウチに来る?」
「うん、行く」
家に帰りたくない虐待されている少女を匿った青年が
犯罪者として、いつまでもいつまでも糾弾される。
文は世間から見れば少女を誘拐して監禁した犯罪者。
その文にどうしようもなく惹かれる更紗。
正しく理解するのは常識では無理・・・
更紗には差別する人に正しく説明する言葉が見当たらない
何故、更紗と文は、惹かれ合うのか?
それを解明する事がこの映画のコンセプトだとおもいます。
更紗と文が暮らした最初の2ヶ月
そこが全ての出発点でした。
映画では松坂桃李も広瀬すずも、とても良かったと思います。
最高のキャスティングだし、そして2人は入魂の演技でした。
原作を読んだひとりとしてちょっと言いたいのは、
更紗が両親と別れるまでの生い立ち。
この時代が更紗にとってのゴールデンタイムだった事。
父親が突然病死して、自由人の母親は恋人の元へ・・
更紗を捨てて出ていきます。
原作では実に細やかな描写・・・
更紗は、自由奔放な母親と、母親を深く愛する父親の幸福で
ユニークな3人家族で育っています。
母親は朝・昼・夜、気にせずに飲酒したり、
好きなときだけ料理したり、
3人(両親と更紗)で、大人向けの映画を観たり、
親がしょっちゅうキスしていたり、
何度も出てくるのだけど、《夕飯がアイスクリーム》だったり、
映画を観る日の夕食は《宅配ピザ、ポップコーン、アイスクリーム》
だったり、
それに対して文は母親から育児書通りの、とても堅苦しい家庭。
炭酸入り飲料は健康に悪いのでダメ、
紅茶は10歳まで薄めて飲む、
ラーメン店は不潔で健康に悪い、
だから入った事がない、
事細かに規律に縛られて育った。
そして更紗もまた、預けられた叔母の家で、
個性を歪められた上に、
いとこで中2の孝弘から性的虐待を受けて、
更紗の心はもういっぱいいっぱいで、
限界でした。
だから更紗にとって文との2ヶ月は、目眩く解放と自由復活の
日々だった。
この記憶が2人を決定的に結びつけている。
だから15年後に再会した更紗は、
亮くん(横浜流星)との同棲生活によって、
無理を強いられていて、
文との縛られなかった、
更紗がありのままでいられた時間、
それを思い出してしまったのだと思う。
映画はこの2人の精神的な《もたれ合いと惹かれ合う必要性》
これをもう少し繊細に多くの時間をかけて描いていたら、
より説得力が増した、
そう思うのです。
それにしても世間は、
文を《幼女を誘拐監禁した加害者》として、常に糾弾し続けるし、
更紗は《ロリコンに誘拐監禁されて、何をされたのか?》
好奇の視線に晒され続ける。
決して忘れてはくれないのです。
ラストシーンで文は、
どうしても触れられなかった自分の身体の秘蜜を晒(さら)け出します。
とてもショッキングなシーンです。
更紗になら言えた。
更紗なら、そんな文を受け入れる。
更紗と文の結びつきは、精神的なもの。
本を読んだときにはキャスティングが決定していたので、
文は松坂桃李さん、
更紗は広瀬すずさん、
亮は横浜流星さんで、
当て読みしてました。
(流星さんのDVはショックでした。DVもある意味で心の傷?
(そして母親に捨てられた喪失感・・・が、如何に人を歪めるのか?)
亮の妨害工作が卑劣でした。
文と更紗は一緒に居られれば、それだけで幸せ、
この映画(原作)のコンセプトは、
世間的には《ロリコンに誘拐監禁された少女》と
《加害者のロリコン青年》が何故強く惹かれ合い
《互いを必要としたか?》
それに尽きると思います。
それを解明した映画だと思います。
そして答えは映画(映像&音楽)の中に示されています。
文体が映像になる。
湖水に浮かぶ文、
膝を抱えてただ更紗を眺めてる文、
マンション隣のベランダ越しの会話、
窓辺で揺れるレースのカーテン、
何気ないシーンがとても良かったです。
本心は誰も知らない
自分たちだけがわかっていることを、世間には決して理解してもらうことはできない。この苦痛を、嫌というほど思い知らされた。実写の映画となっている分、小説よりリアルに。
自分が育った境遇から、りょうくんのようなパートナーと一緒にいてしまったり、性的な行為を疎む更紗の気持ちも分かるし、寄り添ってくれる女性を求めるりょうくんも頷ける。そして、性的な異常に悩む文も。更紗と文が抱える大きな問題を、ふたりで背負って生きる姿が素敵だと思えた。
とはいえ、重たいので、何度も観られるようなものではない。。。
マトモなヤツがいない
原作未読。
まず、長い。そして、その割には分かりにくい。一番大事な文の病気も映画だけでは「はっ?」って感じ。見ていて、精神か肉体に障害が有るんだろうなと言うのは分かるんだけど、最終盤でいきなり文が脱ぎ始めて、「?」と思ったら、台詞がボソボソだし、当然に股間をアップにするワケにもいかないので伝わらない(見終えてからネットで文の病気をググって分かった)
更紗が恋人・亮の実家に行った時の家族の対応、亮はDV気質、殴って鼻血出してる女にセックスしようとする・・・・・。更紗の同僚は娘を預けて男と失踪。その所為で、単に更紗留守中に子供を預かっている文が警察に踏み込まれて、力尽くで身柄拘束(人権派弁護士出てくる案件)。
じゃあ、文と更紗が不条理に襲われているだけの被害者かと言うと・・・・・。
流浪と言うタイトル回収が一番最後に来たけども・・・・・この二人、一緒に居ない方が良いんじゃね?と思ってしまう。
メインが若手(一番年長の松坂桃李でも34,多部未華子33歳)だけど、役者は良いんよね。
それだけに、冗長な展開が・・・・・原作読んでる人だと違う感想かも。
あなたには、そう生きる理由があるのだ。
人はどうも自分自身の生き方に強烈なコンプレックスを抱えてしまうように思う。
その事実に対する「あなたにはあなたの、その生き方をする理由があるのだ。」という肯定があった。
更紗と文にも、ああして生きていく2人だけにしか理解し合えない、明かせない、話したくない理由がある。
映像でこそ感じられたタイトルの主張、場面ごとに挟み込まれる2人が過ごした日々の回想の効果、心情を表すような音の作り方、重要シーンの映画ならではの表現も衝撃的で、何より主要4キャストのお芝居と解釈が素晴らしかった。原作と映像とで相互作用していて、合わせて見る意味が感じられる作品でした。
二人だけがつながった関係
幼い時に、文に誘拐された更紗。
当時、警察が文を捕らえて更紗は解放された。
それから、月日は流れ更紗は文と再会した。
文は世間では誘拐犯だと言われているが、更紗はそのようなことを思っていなかった。
日に日に、文の想いが強くなってきた更紗は、文と一緒に居たいと思うようになった。
そして、二人は一緒にいるという内容だった。
原作を読んだことがあるのですがとても良かったです。
映画版もよかったですが、原作のほうが、少女がどうなったのかも描かれていて、個人的には原作の方が好きです。
被害者と加害者というレッテルがはられていても事実はそのようなことはないのに誰もわからないというとても悲しい話でした。
世間では、理解できない関係でも当の本人たちがわかってつながっている関係ってすばらしいなと個人的には思いました。
松坂桃李さんの演技がよかったなと思いました。
二人は孤独を補い合っていた。他人は物事の表面のみを見る。
元々小説を読了し実写映画化が決定した際から気になっていましたが残念ながら映画館で鑑賞できず、レンタル開始早々に鑑賞しました。
二人にしか分からないこと。他人から見れば女児誘拐犯。けれど更紗にとって文は狭い箱庭のようなところから自分を救い出してくれた人。
人間はいつだって物事の表面しか見ようとしない。当人同士しか知らぬ真実は覆い隠され、ネットやテレビニュースだけが判断材料となり同調意見が生まれる。
私もその一人かもしれないと思わされた作品です。
私も
多分排除する側に回ったろうなと感じ、心が沈んだ。
だが、沈んだ先でじんわりと温かい光に包まれているような感覚が残った。
アカデミー賞あげて欲しい。
純愛ものと言っていいのだろうか。
広瀬すずの控えめな爛漫さと静かな佇まいが心地良く、心に沁みた。
横浜流星を含め過去にトラウマを抱えた3人の人間模様の描写が見事で、引き込まれた。
映画館で観ていたら涙していただろう。
過去の犯罪、しかも冤罪をいつまでも炙り出し姑息な手段で追い込む人々は醜悪だ。
でも、私も間違いなくその1人。
多様性の尊重を謳いながらも価値観は受け入れられない。
それが小児に対するものならなおのこと。
これはあくまでもフィクション、2人の純粋さに暫し心洗われたい。
真相を知らずに
何事も上手くいかないなって感じながら見た。
文は世間から見たら誘拐犯だけど、更紗にとっては救世主だった。15年も経って、どん底にいた更紗のまた救世主のようだったのに、世間はまた傷つける。
一緒にいることが幸せなのかそうじゃないのかは、他人には分からないけど、昔まわりの人に引き離されて、離れ離れになった2人が大人になって一緒にいることを選ぶことが出来たのは良かったのだと思う。
約2時間半かつセリフがあまり多くない映画ながら 広瀬すず、松坂桃李...
約2時間半かつセリフがあまり多くない映画ながら
広瀬すず、松坂桃李、横浜流星の演技力が素晴らしくのめり込んで観てしまった。
大衆受けする映画ではないが、李相日監督らしい良い映画だった。
生き方の正解を問い続ける
2022年劇場鑑賞33本目 優秀作 72点
2022年上半期の邦画でとりわけ注目度も期待値も高かった本作。
まあある意味期待通りで、そこまでとんでもなく残らなかった印象。
伝えたいことは大いに理解できるし、想像を越えた演出や演技には目を見張るもがありましたが、個人的にはまあそこそこで完結してしまった。
冒頭のブランコの撮り方には流石だなあとため息を吐いて、そこから胸を弾ませて鑑賞していたのを今でも覚えています。(鑑賞から4ヶ月後にレビューしています)
当方予定では今年の劇場鑑賞本数が100本を超える見込みで、近年より洋画やミニシアターも多く鑑賞していることから、例年だったら年間ベスト10入りしてもおかしくない作品だと思います。
是非。
他人と向き合えないのが問題では?
かつて誘拐の加害者と被害者であった文と更紗が再び再会する話。
撮影監督に『パラサイト』でも撮影担当だった人がやってるのでなんとも韓国映画らしいというか、パラサイトっぽいというか。色んな小道具が意味ありげに出てくるのとか、文の家の中庭の感じとかめっちゃパラサイトだなと思った。
モチーフについては、ガラスとかキラキラしたものが文のイメージになっているっぽくて、それがコーヒー屋の1階に置いてあるグラスに更紗が惹かれてるので表されてるっぽかった。あとは傘も、最初文自身の傘を更紗に差し出してるのに対して今は恋人の傘を持ってるのもなんか意味ありげだなと思った。ただ、この2つ、だから何だ?で終わってしまったのだが(笑)
この文と更紗、ロリコンや誘拐諸々より他人とちゃんと向き合わなかったことが問題なのでは?と思った。でも母親にちゃんと自分を見て貰えなかった文と傷を抱えて孤独だった更紗、お互い初めて自分とちゃんと向き合ってくれたし自分も向き合えた他人だったのに、それはダメな事として世間から否定されたら殻に閉じ込もるしかなかったんだろうな。
でも、そうやって他人と向き合わず閉じ込もるのって結局当人達を置いてロリコンと騒ぎ立てる周囲と同じになっちゃってて、亮だって色々な問題を抱えているが故のあの行動(クソ田舎で勝手に結婚式はこっちで挙げるとか言われてて継ぐ継がないとか圧掛けられてたり)。
付き合う前にちゃんと亮と向き合っていればこの結果にはならなかったのでは?と思う。まぁでもロリコンとDVどっちが悪かって言われたら、罪犯してるDVのが完全に悪いけどな。
暴力をふるうのも、幼い少女をすきになる傾向があるのも必ず何か要因があるはずで、そこを見ずして他人を否定することはやっちゃダメだなと思った。
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