流浪の月のレビュー・感想・評価
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みんな書いているが、リアリティという部分と、文の抱えてきたものを魅...
切ない事実と穏やかな真実
凪良ゆうの『2020本屋大賞候補作品』の映画化。社会からはみ出て、生きづらさを感じる男と女の生き様を、李相日監督が、心を揺さぶるヒューマンタッチなサスペンス、そして切ないラブ・ストーリーとして、作品に仕上げている。
社会を上手に生きていくために、場を読んだ言動が求められる中で、個性とは、自由とは、どういうことなのか?自分自身が欲する優しさや異性に対する感情とどう向き合っていかなくてはならないのか?大人の女性を愛せない男と天涯孤独で少女時代にトラウマを背負う女。そんな現代社会の片隅に生き、他者から見れば、病的とも思える歪んだ関係の男女の『事実』も、当人達からしたら全く違う穏やかな『真実』がそこにある。
自由奔放に育てられた小学5年生の更紗。そんなある日、両親が突然に居なくなり、同時に今まであった自由を失い、叔母の家に住むことに。しかし、周囲に合わせる生活と、夜な夜な従妹からの性的暴力を受けるようになり、自由を求め1人飛び出した小学生の更紗。それを受け止め、匿ってくれたのが、当時大学生の文(ふみ)。
天涯孤独の更紗にとっては、文の優しさは唯一心の拠り所となる。暫くは、2人の穏やかな生活が続くが、ついに文は、ロリコン誘拐犯として逮捕される。
長い年月を経て、更紗も新たな恋人と歩み始めていたが、彼氏の束縛やDVが牙を剥き始めた折、文と更紗は、文が営むカフェで偶然再会。彼氏のDVから逃れる中、再び更紗は文を頼っていく。しかし、そんな2人を世間が放っておくわけもなく、またしても2人の生活は、音を立てて崩れていく。そして、文が抱えてきた秘密を更紗に明かすラストシーンは、原作を読んで分かっていても、衝撃的な描写に息を呑んだ。
物語の中で文が営む、アンティークで落ち着いたカフェの描写が、とても気に入った。文が、豆を丁寧に選別して焙煎する。そして、ゆっくりゆっくりと愛でるように、琥珀色の珈琲を注ぐ。セピア色した穏やかな時の流れの中で、香ばしい珈琲の香りまで漂ってくるような描写。そんなカフェの片隅で、更沙が、カズオ・イシグロの『クララとお日さま』を読む姿は、何とも言えず美しかった。
主演の松坂桃李は、希望も持てず、寡黙にただ生きるだけの青年を見事に演じていた。本作の為に体重も8kgも減量したということも、さすがアカデミー賞俳優。俳優魂を感じさせる名演技だった。そして更紗の恋人役の横浜流星も、これまでのカッコいい彼のイメージを払拭。落ちる所まで落ちていくみじめな男を演じていた。
また、何といっても広瀬すずの演技は、これまでの広瀬とは、ひと味もふた味も違う、大人の女としての魅力を湛えていた。更紗が抱えていた切なさや儚さ、トラウマ、そして美しさを李監督は見事に引き出していた。鑑賞後、次の『日本アカデミー賞・主演女優賞』は彼女で決まり!と思うくらいの、大人の大女優・広瀬すずの誕生を感じさせる作品だった。
男と女の強い絆を描いた異色のラブストーリー
李相日監督作品ということで娯楽作品ではなく超シリアス作品だと覚悟していたが、過酷な運命に翻弄されながらも、求め合い続ける男と女の強い絆を描いた異色のラブストーリーだった。主役の松坂桃李と広瀬すずの抑制の効いた巧演が際立つ秀作だった。
大学生・佐伯文(松坂桃李)は、両親と離別し叔母の家で暮らしている10歳の更紗と偶然知り合い、叔母の家に帰りたくないと言う更紗と同居生活を始めるが、2ヶ月後に誘拐犯として逮捕される。15年後、大人になった更紗(広瀬すず)は偶然文と再会したことによって二人の運命は大きく変化していく・・・。
二人の同居生活は、長閑であり、両親との離別後、癒されることが無かった更紗の心に安らぎを与える。大学生の文は、そんな更紗を優しさで包み込む。2ヶ月という時間の中で二人は強い絆で結ばれていく。台詞が洗練されているので僅かな台詞のやり取りのなかで二人の関係性が深まっていくのが分かる。穏やかだが心に悩みを抱えた文を松坂桃李が生気のない物静かな佇まいで好演している。やがて、文は誘拐犯として逮捕される。逮捕直前に二人は手を握りしめる。それは二人の絆の強さを確認した行為だと推察できる。
15年後、二人は偶然の再会を果たす。二人には恋人がいたが、再会によって、二人は自分が本当は誰を求めているかに気付き急接近していく。次第に恋人との関係はギクシャクし始め破綻していく。
ラストシーン。流れるという更紗の台詞が意味深である。二人が他に居場所を求めて流離うという意味だけではないと感じた。流離うことは、生き続けることである。
愛する人がいれば人は生きていける。母親への愛に見放され絶望していた二人は、偶然の出会いによって愛する人を見つける。絶望から救われる。
これから先の人生がどんなに辛いものであっても、愛する人がいる限り二人は生き続けるだろう。生き続ければ二人の人生に希望の光が灯る日は必ず来ると信じたい。
2時間でできないのかな
う‼️❓余りにも同化して‼️❓苦しみを共鳴して‼️❓助けてあげたい‼️❓
李監督×広瀬すず×松坂桃李
セリフがなくても感情が手に取るようにわかる。
少ない言葉で多くの気持ちを伝える。
非常に難解な表現を主演二人は見事に熱演。
監督も相当信頼しないと出来ないはず。
広瀬さんの幼少期を演じた白鳥さんには、もう褒め言葉はいらないくらい、どの映画でも結果か出ており、流浪の月でもインパクト大。
ピザとハンバーガーの親和性はどちらが先か?というくらい。
表では正義という扱いが実は、、、。という設定は相変わらずお見事で、見る側の「怒り」がこの映画へののめり込みに変えている。
松坂さん演じる文の「癖」に本当にそうなのか?と終始違和感を感じていたが、ラストシーンで納得した。
確かに隠したい。
最後に、横浜さんの拳は正義のために使いましょう。
リアル過ぎて怖すぎて見るのが辛かった(褒めてます)
吐き気がする
まさに そんな作品でした。
それくらい 突き刺さった作品でした。
それを妻と一緒に観に行ったのですが、
観終わった後の気まずさっていったらなかったです。
それは自分にかぶりすぎている点が多かったからです。
特に横浜流星の演じる役ですが、
あそこまでにないにしろ、本当にかぶってます。
●嫉妬心
●自分を受け入れてもらえない時の怒りの向け方
●濡れ場シーンでの仕草や行動
私は妻へのストーキング行為はしませんが、ちょっと帰りが遅いと不安になります。
メールで既読がつかないだけで不安になる事多いです。
承認欲求が強いという事でしょうね だから ちょっとした事で
愛されていないという勘違いでしょうけど
セックスの拒否は死活問題な所があるんです。
セックス=愛されているという満足感が自分にあるのだと思います。
濡れないから意地になって指を舐めてむりやり濡らそうとする仕草
ドキッとするくらい生々しすぎてドキドキしてました 隣の席を気になってしょうがなかってです。
そんな
醜い部分を映像で観たらどうかんじますか?
自分自身に吐き気がすると思いませんか?
性癖というのは人それぞれで私は基本巨乳好きですが、
ロリコンってのもそう差はないとおもっているので、ロリコンに吐き気はしません。
性癖ってのは生まれ育った環境によって左右される部分もあるので、私は個性の一つだと
思っています。 LGBTって言葉が出来てしまった時点で男性と女性が交わる事自体がスタンダードという偏見や差別だと考えています。
性行為そのもの否定的な性癖もあるって聞きます。
性行為=セックスっていいかた自体 おかしな話です。
自分の価値観がスタンダードであってその価値観と大きく外れてしまった考え方を批難するの事に
よって満足感を得ようするの往々にしてあるものの
個性の時代といいつつも個人の価値基準でしか見たい部分しか見れない人間のそのものの醜さってのには吐き気がします。
本当に鬱になりそうでした。 たぶんならないと思いますが、今後の夫婦生活を思うと吐き気がします。
作品自体は本当に良作だと思います。 名作といっても良いと思います。
私の価値基準の話ですが、
広瀬すずちゃんの新境地も見れました。 あの吐息も聞けました。
まさか
「広瀬すずちゃんの映画観に行こうよ 松坂桃李や横浜流星も出るから
一緒に観に行こうよ 本屋大賞になった原作だから いい映画だよ。」
が
こんな事になろうとは・・・・
美しい映像をつないだ純愛映画150分
本人しか分からない事情
二人を見届ける
真実とは。
良心的な作品。オススメします
「悪人」「怒り」の李相日監督が過去に深い傷を持つ人の心のひだを丁寧に描いた人間ドラマです。
上映時間は2時間半でしたが映像も美しく登場人物の心情が感じられて飽きることはありませんでした。
広瀬すずの濃厚なラブシーンも見応えがあります。子役の演技も素晴らしかったですが横浜流星演ずる婚約者の言動と暴力シーンが偏執的で凄かったです。
後半は多くのトラブルが続き悲劇的なラストしか想像できませんでしたが救いのあるエンディングが見れて良かった。
松坂桃李演じる佐伯文の行動原理が淡々とし過ぎていてわかりにくいのですがラストの衝撃的な傷の告白は心に刺さります。
「死刑にいたる病」もですがこういう良心的な作品が見れるのは今の邦画界の魅力です。
若い人へのほうが刺さるかも
かなり複雑
演技力に時間を忘れる
原作の知識がなく鑑賞。
序盤は親のネグレクトで行き場のない子どもたちが根底にある物語なのか、マイスモールランドだけでなく、国内だって子供が育つ環境に格差があるからなあ、なんて観ていたのです。
そうしたらラストに迫るに連れ、あれ?男性側の問題が大きいの?と、ちょっと意外な方向に舵が切られました。
(警察の対応、地域の人々の反応、事件後の当人の暮らしてきた経過、なぜそれほど人口の多くない地域に暮らす?などなど)
設定には色々と突っ込みたい部分もあるのですが、演者さんたちが素晴らしかった!
メインの方々全員が熱演されていて、150分という長さを感じることなくスクリーンに没入できました。
松坂桃李は言うに及ばず、なのですが、千葉すずさんの少女時代を演じた白鳥玉季さんと千葉すずさんは圧巻でした。
普段のホンワリしたイメージからスイッチが入ると一気に表情が変わる様は、本当にびっくり!
重たいテーマではあり、考えなければならないこと満載ですが、観る価値ありの一作ですね。
月と地球、そして二人の距離感を推し測る
雨が降りしきる公園で、
濡れることをいとわず本を読み続ける少女に
一人の青年が傘を差し掛け、自宅へと誘う。
寄る辺ない互いの運命が交差した瞬間。
少女には自分の家に帰りたくない理由がある。
また青年は嘗て引き籠り、人とは上手く関係を築けない背景が。
そうした複雑な事情が結び付けた二人が、おくる奇妙な同居生活。
それは彼と彼女にとっては、何人にも束縛されぬ一種のパラダイス。
しかし、幸福な時間は永く続くハズも無く・・・・。
月は引力と斥力のバランスが取れた場所に存在し、
地球の周囲を回り続ける。
が、一方的に囚われるだけの存在ではなく、
地球の自然-潮の満ち干や、そこに住む生物の生理-にまで影響を与え。
ただただ、満ち欠けを繰り返す、影だけの存在には非ず。
『更紗(広瀬すず)』と『文(松坂桃李)』の関係も同様。
不思議なことに付かず離れず、相互に影響を与え合う。
共に幼い頃のそれは見ていて微笑ましいが、
長じてからの交友は全てが痛々しい。
そこには二人の関係に膾炙する、世間の無理解が根底に。
人は自分の見たいようにしか物事を判断しようとせず、
理解に迷うことについては過去のステレオタイプに頼るもの。
「ロリコン」や「洗脳」との単語で括ってしまい、
「愛情」や「信頼」へは結び付けない。
新しい関係性を提示されても、納得することはなかなかに難しく、
そうした偏見がじわじわと無垢な人達を貶めて行く。
もっとも『更紗』と『文』については、単純化できぬ幾つかの理由が、
中盤と終盤で吐露されるのだが。
冒頭の公園での二人の距離感、
『文』の家での二人の間、
そしてエンディングでの二人の触れ合い。
次第に縮まって行くそれは、物理的な要素に加え
心理的な表現に直結し示される。
科白を切り詰め、モンタージュを多用-例えば、どうどうと流れる濁流で
二人の未来や心象を判り易く暗示する等、
描写の仕方が本作では頗る手練れている。
監督・脚本の『李相日』の面目躍如だが、
他方で気になる点も。
前回タッグを組んだ〔怒り(2016年)〕では、
当時十八歳だった『すす』ちゃんに、あんなことをさせ、
あろうことか本作では、こんなことやそんなことをさせ、
おぢさんは思わず顔をそむけてしまったのだが、
じゃあ次作はどんなコトになるんだろうと、
相当にやきもき。
加えて本作では、子役の出来が素晴らしい。
何れも十代前半の『白鳥玉季』と『増田光桜』は
変にこまっしゃくれておらず、自然な演技が光っている。
これは日本映画には珍しいこと。
今後も楽しみな二人だ。
銀幕
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