流浪の月のレビュー・感想・評価
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2時間30分の間、映画の中に引き込まれた
家に帰りたくない少女をかくまった青年が誘拐として逮捕され
後に2人が再開するというストーリー
静かに進むストーリー展開なのに
何故か引き込まれて行く
誘拐された被害者
誘拐した加害者
それぞの立場での苦悩がある
2時間30分という長い時間の映画なのに
それを感じさせない
静かな展開なのに、いや
静かだからこそか映画の中に引き込まれて
まるでその中にいるような感覚に
ドキドキハラハラ
とは違う何がある
それは、それぞれの立場を考えて
感情移入することによってうまれるのか?
大人の映画なのは間違いないが
見終わった後になんとも言えない感情が残った
観て良かったと思う作品でした
ロリコン
悲劇的なファンタジー
罪なのか、愛なのか
原作は未読。
李相日監督って、「悪人」にしても「怒り」にしても犯罪を犯した人間との愛を描くのがうまい。犯罪を犯しても人としてそこまで憎むべき存在なのかってことを問いかけてくる感じ。本作もそんな映画だった。
誘拐事件のなった15年前と現在をうまく場面展開しながら物語が進む。事件当時、誘拐の犯人と被害者、そんな関係性に違和感を覚えるほど、2人の間に流れる雰囲気は穏やかで温かいものだった。
徐々に明らかになる更紗と文が抱える闇。男として色んな感情を揺さぶられ、かき回された。性の問題と人との関わりについて、こんなにえぐってきて、でも優しく目の前に提示されるなんて。なんて物語だ。
そして、狡猾な暴力はいい人の仮面を被ってくる。横浜流星の演技を見てそんなことを思った。こんな役もいいな。もちろん広瀬すずと松坂桃李もよかった。でも、物語的に文の役はあんなにイケメンでいいのだろうか。勝手な願望だが、岡山天音や矢本悠馬あたりが演じたものを観てみたい気がする。
ひたすら二人の幸せを願って鑑賞しました。
ーーねえ文、わたしってどんな子だった?
原作にも登場するこの台詞を、僕は非常に重要な台詞だと思っている。それは、自分を押し殺し、自分自身さえも偽り続けてきた更紗の悲痛な叫びである。彼女はもう、文に尋ねなければあの頃の自分を思い出すことが出来ない。
そして、文と過ごしたあの頃が更紗にとって重要なのは、更紗にとって最も重要な「両親と過ごした幸せな日々」を模倣したものだからである。夕食にアイスを食べ、朝食にケチャップをぶちまけ、日曜日には昼間から床の上に寝そべってビデオを観ながらデッカいピザを食べる一見野放図な行為は、単なる彼女のワガママでは無い。文はその生活を全肯定してくれた。
原作との比較はあまり意味のない行為ではあるのだが、両親と暮らした幸せな時代をバッサリカットしたのは何故だろう。お父さんは病気であっけなく死に、お母さんは男を作って出ていったと言う説明だけでは、まるでネグレクトされた子供だ。幸せな子供時代を想像する事は難しい。叔母の子(いとこ)による性的虐待からのエスケープを強調したかったのだろうか。文との生活は彼女が人生で初めて得た唯一の安息地に見えてしまう。
また、母については男と逃げたことだけ語られるのに、父がバカラのワイングラスでウィスキーを美味しそうに飲んでたエピソードを残したのは中途半端である。
李相日監督は意図的に幸せな描写を取り除いて撮影しているように見える。それは、再び二人で行動を共にする事になったエンディングも例外ではなく、明るい未来を予見させる要素はほとんど無い。陰鬱な気持ちで映画館を出た。暗ければ良いってもんじゃないと思うのだが。
追記
原作によるとcalicoを邦訳すると更紗とのこと。お互いずっと求めあってたんですね。二人には幸せに暮らして欲しいです。
人と寄添い合える事の幸せが素敵だなと思いました。
様々な技術力
他の方も書かれている様、警察絡みは考証不足に思えるし、他にもマイナス要素は色々あるのだが、トータルでは長さが心地よい、見ごたえのある作品と感じられた。それはやはりスジの展開・役者・撮影・編集などの技術の結集によるところと思う。
原作未読のため次々展開するスジに心地よく裏切られた。何よりラストに救われた。
子役白鳥玉季は初見で正に広瀬すずに成長しそうな顔立ちでかつ演技も上手で感心した。大人たちも皆期待にそぐわぬ力演。中でも広瀬すずには顔についた血を拭わないまま街を歩くとか相合い傘の後をつけるとか横浜流星を怒鳴りつけるなど無理スジなシーンも見られたが、スーッとおとなの役にはまってきた感。あと内田也哉子は驚きのキャスティングだった。
そして月や鳥などの様々なイメージカットや画面の隅にピント送りで重要な要素をチラ見せさせたりする美しい撮影。パラサイトの撮影チームとのこと、確かな腕を見せていただきました。
製作で最初に出た名前はUSENの宇野さん、これからもどんどん面白い邦画に投資して行ってください。
個人的マイナス点は、原作通りだとは思うが、大本の原因が病気というのは好きではなかった。二人の関係性を描くのにその理由は必要なかったのでは?と思いました。(不幸が原因で不幸になるネタが個人的に嫌いでして。)
本当に無理…
相変わらず濃い李監督作品
相変わらず濃い李監督。その濃さは実はあまり好きではない。俳優のみならず脚本監督も気合が入りまくって過度な劇的構造の、言ってみれば昔ながらの日本映画な感じがいつもする。こういうのが好きな人は好きなのだろう。
前半見てる際には「シベールの日曜日」的作品かと思いきや、やはり原作はさすが本屋大賞、病的な要素を持つ主人公たちの運命的な再会と世間の邪魔、大きな障壁を持った幸せになることのできない男女のロマンス、とも言えないロマンス。なのでいい物語だな、と思うのだけど、いかんせん濃すぎる。常にみんな思い詰めてるみたいで確かに葛藤こそドラマとは言うけれど、みんな思い込みが激しくて感動からは遠ざかる。
現在進行形に過去回想が入る作りではあるけど、回想の分量とタイミングがそこでよかったのか微妙。「誘拐」と世間でみられたその時間は実はかけがえのない心の拠り所となる幸せの時間だった、という一連は、実は芯になる結びつきのシーンが見えなかった。心の傷を負ったふたりが公園で出会う。そして歩み寄る。打ち解ける。となるはずなのだけど、逮捕のシーンのところで、もっと盛り上がりたかった。前半でその掴みがないのでいまいち盛り上がれず。ただ、カメラは目新しい。パラサイトの人なんですね。とてもシャープな絵ながら陽光のハイコントラスト、夜景手前の日没後の雲が見える空、「月」とタイトルにあるからか、とても丁寧に撮られていて新鮮でした。
かなり驚くシーンが多い
性被害や小児性愛等、重たい内容です。カップルで見る内容か分かりませんが、キャストが人気の方々だからか、若いカップルが多くて驚きました。人それぞれ受け止め方はあると思いますが、善悪や幸せとは何かを考えさせられる作品でした。
広瀬すずさんの辛いシーンが多く、それでも心から笑えてるシーンに救われる思いでした。長野や松本の街と共に美しく描かれてます。また、横浜流星さんのDVや二重束縛、崩れっぷりがなかなかエグい。あんなにかっこいいのに、終盤かっこよくないとさえ思えるくらい。はじめての役柄のように思えます。
そして、松坂桃李さんの演技が素晴らしかったです。難しい役柄で、心配になるくらい減量もされて、「前貼りなし?」というシーンもありました。3人の心身を削るような全力の演技に感動しました。
原作を再読したくなった
人は見たいようにしか見てくれない
原作未読ですが、予告を何度も見たので、ある程度の予備情報をもって鑑賞してきました。俳優陣の熱のこもった演技に圧倒されましたが、鑑賞後の後味の悪さは否めません。
ストーリーは、偶然見かけた寂しそうに佇む少女・更紗に声をかけ、自宅に連れ帰った青年・佐伯文は、しばらく同居生活を続けたあと誘拐犯として逮捕されますが、その15年後に偶然再会したことにより、2人の距離は再び縮まり、今の生活がしだいに壊れていくというもの。
普通に考えれば、誘拐犯と被害女児が、心を通わせることなどありえません。ましてや、しばらく生活を共にしていたとなれば、性的いたずらや暴行があったと考えるのが一般的でしょう。しかし、更紗と文にはそれがありませんでした。出会った当時の2人はそれぞれに心に傷をもち、それが性的なものに起因していたからです。そのため、2人が性的な行為に及ぶことなどなく、互いの存在を安心できる場所として求めていただけなのだと思います。
この極めて稀な出会いから生まれた絆は、15年経っても2人の心に残り続け、再会と同時にまた求め合ってしまいます。それは、2人が今もまだ事実や本心を周囲に語れず、誰にも心を開くことができなかったからでしょう。そんな時に更紗が口にした「人は見たいようにしか見てくれない」という言葉が胸に刺さります。結論ありきで「きっとこうだ」という思考に物事を都合よくあてはめていくのは、マスコミに限らず、世間の誰もがよくやることです。きっとそうすることで、理解、納得、共感を得やすいからでしょう。でも、それを声高に叫ぶことは、そこに当てはまらない人々の思いを無条件に切り捨てることなのだと感じました。
更紗と文のような特殊な関係でなくても、とかく人は他人のことをあれこれと邪推しがちです。かといって、真正面から質問もしにくいし、ましてや本人たちが語りたがらない秘密を根掘り葉掘り聞き出すこともできません。でも、せめて勝手な憶測で噂を広げないようにはしたいものです。SNS等で誰もが世界に発信できる時代だからこそ、その一言のもつ影響力の大きさと責任をしっかり自覚する必要があるはずです。本作を通してそんなことを考えました。
主演は松坂桃李くんと、広瀬すずさんで、常に陰を背負いながらも、どこかで自分らしくありたいと願う文と更紗を熱演しています。特に広瀬すずさんの体を張った演技や、文との再会で見せる表情の変化は秀逸で、役者としての成長を感じました。脇を固める横浜流星くんのやさぐれっぷりもなかなかでしたが、本作の立役者はなんと言っても白鳥玉季ちゃん!どの作品においても強烈な存在感でしっかり爪痕を残す演技は、本作でまさに本領発揮と言ったところ。恐るべき12歳です。
役者さんの演技力に驚き。ただ脚本が…
多部未華子には、そこまで演技力の求められるシーンはないが、
若手俳優で、影のある役をやらせたら、松坂桃李がダントツだと感じた。
雰囲気だけの成田凌とは違い、役が憑依している。
横浜流星もポンコツだと思っていたが、DVの攻撃的な面、人を見下した表情は、なかなか役者になってきたと思った。
広瀬すずは、まだ広瀬すず。
DV、ベッドシーン、と無難にはこなしていたが、
芯が強すぎる。
更紗の文への執着が文の人生を狂わしている、ということを言いながらも、いまいち入ってこないのは、更紗ではなく、広瀬すずのままだからだと思う。
もう一皮剥けた女優になってもらいたい。
脚本が、原作を端折りすぎていて、登場人物のそれぞれ抱えている問題が分かりづらい。
そこが根底にあっての登場人物の依存、執着する様子が分かりにくい。
特に文は、最後まで隠されているため、最後の10分程が慌ただしく薄い。
それであれば、登場人物を更紗と文と亮に絞って展開した方が良かったかもしれない。
スッキリしないラスト。
素晴らしい良作 ただし、、、
先入観や思い込みを疑う大切さ
圧巻のキャスト陣!助演男優賞級
原作を読んで鑑賞。
構成もさることながら演技がよかった。
とうり、すずは原作通り秀逸。
驚いたのは亮を演じた横浜流星のパフォーマンス。助演男優賞級だった。
亮という男の人生をしっかりと描いていた。
各々の月はどんな状況でも輝いて存在する、ただ捉え方や世間のフィルターで見え方や形は変わるだけ。
流浪の月であろうとも、しっかりと真実として絶対的に輝いているものなのだと、言い聞かせていきたい。
松坂桃李が良い男すぎてロリコンに見えなかった
画づくりは原作にかなり忠実、音楽も演技も抑え気味だがとても好印象、邦画ではかなりレベルの高い映画だと感じた。
一方で原作既読で、かなりの期待感をもって鑑賞したためか原作との解釈の違いが気になり、ハマりきれなかった。
以下にネタバレありで気になったところを列挙する。
まずタイムラインがかなり交錯した作りになっているため役者陣がものすごく熱演しているのに反してなかなか話に集中出来ず散漫な感じに
更紗の実家族パートが完全に省略されているが、彼女の奔放な性格は実親との生活にベースがあり、普通に幸せだった時期が突然奪われドン底に変わってしまった結果からの公園の雨のシーンに繋がると思うので、ダイジェスト的にもそこを入れておけばもっと更紗に感情移入できたのではないか。
松坂桃李が良い男すぎてロリコンに見えなかった。体型も含めてものすごく役づくりしたのだと思われるが、どうしてもロリコンとはかけ離れた人物に見えてしまい台詞や演技とミスマッチだった。
2度目の逮捕からの釈放、店の中での脱衣のシーンは必要だったか
さらに映画では消極的なハッピーエンド、原作はもっと前向きな感じでのハッピーエンドであり最後の最後に救われた感があったが、それが感じられなかったのが残念だった。
ただかなりの力作であったので今度は純粋に映像のみを追って鑑賞してみたいと思った。
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