「国境も歴史も超える家族への愛情」ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん。 SGさんの映画レビュー(感想・評価)
国境も歴史も超える家族への愛情
かつて日朝政府が推進した帰国事業と、その後の両国の断絶の歴史によって親兄弟と生き別れた普通の人々。
「地上の楽園」「3年で帰れる」といった嘘に翻弄されながらも、未知の地で家族を持ち、そこで生きることを受け入れた人間の喪失感と覚悟とは如何ばかりだったろう。
一方でその苦悩を知る術もなく、やがて疎遠になり忘れ去ることしか出来なかった家族の想いも理解できる。
歳の離れた姉妹の奇跡ともいえる再会。
二人は声を上げて号泣し抱き合いながらも、顔は皺だらけで脚も不自由な姉は、妹のふくよかな身体や欠けた歯のことを心配して、カメラも気にせず飾り気も遠慮もない言葉をかける。
それは58年の時を経て、国境を隔てても、二人が他人ではなく、ずっと血の繋がった姉妹であることの証ともいえる愛情だった。
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