「2015年10月、ルーマニアのライブハウス「コレクティブ」で火災が...」コレクティブ 国家の嘘 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
2015年10月、ルーマニアのライブハウス「コレクティブ」で火災が...
2015年10月、ルーマニアのライブハウス「コレクティブ」で火災が発生。
20名を超える死者が発生する大惨事となった。
しかし、事件はそれで終わらず、病院に搬送された負傷者たちが次々と死亡することとなった。
病院で死亡した遺族たちは政府に対して声を上げるが、政府は医療体制に問題はないと繰り返すのみ。
この状況を異常に感じたスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」は真相究明に乗り出す。
あきらかになってきた事実は驚愕すべきものだった・・・
といったところからはじまる映画で、病院で使用されていた消毒薬が基準の10分の1以下に希釈されており、死亡者は火傷によって死亡したのではなく、二次的な感染症で死亡していたことが明らかになる。
さらに病院内での看護も不十分で、ベッドで横たわる患者の包帯の下では蛆が湧いていたりもする(映像として残されている)。
あまりのショッキングさで、観ていて声も出ない。
このスポーツ新聞の記者たちの活躍が前半で、現政権は倒れ、新政権が発足、映画後半は若き新保健大臣の活躍が描かれる。
新保健相によって明らかになったのは、政治資金の不正な流れで、国立病院の運営資金が不正に使用されていることである。
国民の生命と健康を守るべき病院トップが金の亡者であり、国から出ている金を個人で使用している・・・
うーむ、これはルーマニアだけのことではないかも・・・と感じていると、当然のことながら、既得権益を守ろうとする輩が登場し、それが首都の市長だったりする。
新保健相が、病院人事の刷新を図ろうと、人事に関する新法を立案しようとすると、新保健相の過去経歴(一時、ウィーン在住だった)ことを利用して、国立病院のトップにウィーンの医師を当てようとしている、国益を損なう行為だとしてネガティブキャンペーンを張って来る。
このあたりの政治のドロドロ感は、他所事ではありませんね。
いずこも同じ、ドロドロ感。
市民が置き去りにならなければいいが・・・
と思っている矢先、ネガティブキャンペーンの効果か、総選挙で勝ったのは以前の政権党。
まるで悪夢を見ているようだ。
これが夢なら醒めてほしい。
いやいや、現実の方が悪夢より恐ろしいのかもしれません。