「無力感や寂寥感に正面から向き合った作り手の姿勢に拍手」コレクティブ 国家の嘘 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
無力感や寂寥感に正面から向き合った作り手の姿勢に拍手
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実際に起きたライブハウスの火災から始まり、最初は問題の核が見えづらいが、次第に国家の腐敗についてのドキュメンタリーだとわかってくる。汚職、癒着、国民の無関心、日本人としても耳に痛いことばかりだが、その内容以上に、映画的表現が冴え渡っていて、酷い現実を描いているのにやたらと面白く、見惚れてしまう。
よくこんなところまで取材できたなと驚くのだが、これほどに政府側の大臣が協力してくれた例も珍しかろう。取材側の熱意と取材される側の強い思いが偶然に重なったことで、製作陣も予想していなかった広がりが生まれたのではないか。
編集もまるで劇映画のように決まりまくっていて、ソダーバーグが監督、撮影、編集を手がけた実録映画のよう。ラストの救われない宙ぶらりんな気持ちも含めて、非常に説得力があり、心の底から奇跡みたいな映画だと思っている。
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