「ドラマよりも現実」コレクティブ 国家の嘘 hyvaayota26さんの映画レビュー(感想・評価)
ドラマよりも現実
ライブハウスの火災についての追及かと思ったら、病院と製薬会社、政府の腐敗の話でした。わりと初歩的な、「薄める」って!政府側がチェックしたり指導する体制が皆無。回収すらされない!この辺りは日本はきちんと法律や規制があって(薬害などはあったけどその中で積み重ねもあり)、病院を基本的には信用できるのはありがたいと思った。
「ジャーナリスト」がいわゆるクオリティペーパーの記者じゃなくてスポーツ紙なのが意外。彼が弁の立つ人で、テレビにも出まくって議論を盛り上げていった様子。TVの司会者は政府寄りだったりする。盛り上がるにつれ、タレコミも集まる構図。
汚職取締局が政府から独立してきちんと機能していそうだったり、デモで首相が退陣していたり、デモ隊がジャーナリストを称えていたり、日本から見たら羨ましい場面もあった。
タレコミも正義感からというよりあいつパワハラでムカつくからみたいな動機っぽく、根本的な善意が市民から失われてしまうとどうしようもないなと思った。告発するのは全員女性で、男性教授は尻込みしていた。
記者会見での追及場面があり、日本ではどうなんだろう?あと、キプロスの銀行の明細はどうやって手に入れたのだろうか…!閣僚や市長が日本よりは若いし、女性も多い。なんだ日本…。
奮闘する新しい大臣と及び腰の官僚、そして皮肉な結末。「僕のやったことが少しは残るかな」というひと言がせつなかった。
生き残った女性の写真が良かったし、それを大臣が部屋に飾っているのが良いと思った。
元妻が「自殺なんてする人ではない。どちらかというと殺すタイプ」ってコメントするのすごい。
ドラマにもなりそうな内容だ。ドラマと違ってハッピーエンドにならないけれど。
カメラを回し始めた時はまだ先は見えなかっただろうし、大臣の会議でもカメラ回してるし、不都合なシーンや苦笑いする顔まで映しちゃってドキュメンタリーとしてすごい。そうか、初めは形になるかなんてわからないうちから始めるんだな。