劇場公開日 2021年10月2日

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「権力者は嘘をつく」コレクティブ 国家の嘘 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5権力者は嘘をつく

2021年10月11日
PCから投稿

驚きに満ちたフィルムでした。
まさか、保健省(日本でいう厚労省に相当)の大臣室にまでカメラが入るとは。

映画の中では、事件の起きた年(2015年)から始まって、2016年末までで2人しか首相が代わっていないけれども。
ルーマニアは汚職がひどく国民から信頼されていないため、圧倒的政権与党がない。
与野党が連立を組み、それが集まったり離れたり、不祥事を起こしたりなどで、しょっちゅう首相が変わっている。
2021年までの6年で、実に6人も辞任、さらに代行が4人いるほどだ(この後もどうなるか分からない)。
直近でも、大手TV局や新聞が「コロナの助成金」という名目で賄賂を受け取って、政府に有利な報道を垂れ流すことが問題視され、マスコミの社会的信用度が爆下がり中だそうだ。

そんな中で、調査報道をしているのはスポーツ新聞紙だけというありさま。
なもんで、国民がバカバカしくなって選挙にいかないもんだから、余計にカルト的な支持層や、贈収賄の繋がりだけで選挙に勝てちゃうのが現状。

映画を観ながら、「あれ、これどこかの国と似てない?」と既視感で脂汗が出てきましたよ。
それどころか、事前に記者が提出した質問に対し、恣意的に数人を当てるだけで、他の記者の質問を受け付けないなんて茶番までやっている国もあるしね。

国民の無関心は国家を殺し、政治家や官僚ら、権力側の嘘を許してしまう。
主権は国民にあり、選挙は大事だ。
心に強く刻まれました。

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コージィ日本犬