「おかしな状況と、おかしな人物」アリスとテレスのまぼろし工場 木花咲耶さんの映画レビュー(感想・評価)
おかしな状況と、おかしな人物
いいところ
プロの声優さん、特にその中でも上手い人達の演技
ラストシーンは色々に解釈できる余韻
ダメなところ
タイミング良すぎるいつみの出番(ゲームセンター)
生活時間と精神年齢の乖離と成長の歪さ
声優は上手い人がやれば誰がやってもいいけど、わざわざ作り上げた作品を台無しにするような配役がおおいオリジナルアニメ作品のなかで、普通に配役するだけで評価したくなる。それでもむつみといつみの2人はホントに上手い。むつみの感情を押し殺したような希薄さから感情的に切り替わるところや、いつみの本当の子供のような演技はさすがとしか。
基本的にSFというかあの手の異空間みたいな話はおかしな状況に普通の人か、普通な状況におかしな人でないと説得力や現実感がなくなって嘘っぽくなると考えてるので途中までおかしなところでおかしなことやってるな、という冷めた目線だったけど、親子の手紙あたりからはごくありきたり反応になって、異常な状況が生きて来たと思う。特にラストはそれぞれの感情が単純で共感出来るものであるし、そうであってほしい流れである意味ハッピーエンド。物語はこうでなくては、という終わり方だった。
時間と変化とかが語られてたけど、あの神隠しの三伏と現実の三伏はある時点から分かれて同時に存在し、神隠し側だけがループしていても時間進んでるとすれば、現実でゆうに10年以上経ってるなか神隠し側は冬を延々とそれこそ10年以上も繰り返してる訳で、いくらなんでも悠長すぎんか?発狂する人間は全て煙に呑まれてるにしてもなあ。もしかしたら神隠しの一年は現実の数年とかか?物資はどこから供給されてるとか、電気や水道は?とかいろいろ疑問はあるけど、まず間違いなくそこらへんは意図して無視してるんだろうな。