「生田斗真なしでは成立しなかったであろうシリーズ。スケールも終結のさせ方もFINALに相応しい作品。」土竜の唄 FINAL 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
生田斗真なしでは成立しなかったであろうシリーズ。スケールも終結のさせ方もFINALに相応しい作品。
日本ではハリウッド映画のようにはいかず、警察は潜入捜査を禁止されています。
一方、厚生労働省の麻薬取締官は潜入捜査を認められているものの、麻薬以外の捜査は禁止されています。
そこで、警察でも麻薬取締官でもない「一般人」として、菊川玲二は暴力団に潜入捜査する「モグラ」となっているのです。
この設定を活かした「土竜の唄」シリーズが原作マンガよりも一足早く「FINAL」を向かえます。
本シリーズは生田斗真の当たり役であることは間違いなく、かなり弾けた演技を見せてくれます。
「宮藤官九郎脚本×三池崇史監督」によって、生田斗真はジャニーズらしからぬ役を演じていますが、本来はコメディが合っているようにも感じます。
本作では“最強の敵・轟烈雄”として、新たに鈴木亮平が参戦し、暴力団と警察の対決という構造も含め「孤狼の血 LEVEL2」を感じますが、実体は“コメディ版「孤狼の血」”といった作品です。
試写室内では、割と笑いが起こっていました。
その一方で菊川玲二は、誰にも言えない秘密を抱えながら命がけのミッションをこなす過程で新たな人間関係も生まれていて、特に堤真一が演じる「クレイジー・パピヨン」こと日浦匡也とは❝義兄弟の契り❞まで交わし深い絆で結ばれた関係です。
ミッションが終わりを告げるとき、玲二と日浦の関係も終わるので、この2人はどうなってしまうのか――というのも、本作の大きな見どころになっています。
本作の新キャラとして、滝沢カレンが登場しますが、よく抜擢したな、と感心しました。あの嘘っぽさを醸し出せたのは、キャスティングと演出の勝利でしょう。
「土竜の唄」シリーズはこれで終わってしまうのが残念なほど生田斗真×宮藤官九郎×三池崇史監督のチームは面白い化学反応を生み出したと思います。今後、別の形で弾ける生田斗真が見られる日を待ちたいです。