「空気感は唯一無二だがいかんせん尺が長い」春原さんのうた 015🎬さんの映画レビュー(感想・評価)
空気感は唯一無二だがいかんせん尺が長い
和製ノマドランドという点についてはドライブマイカーにも共通しています。と言うか、ほぼ同じ時期に公開されたこの二つの映画。こんなことを言えば、多分監督さんは(またかよ)と思うことでしょう。
確かに空気感は似ていますが、私はこちらの方が好きです。田舎の夏の夜みたいな虫の穏やかな鳴き声と、風鈴の音。それらがBGMとして映画のほぼ全編を包み込む。
ある女性とその女性に関わる人々との日常生活を切り取りながら、緩やかに過ぎゆくこの映画について、まさにこのBGMが欠かせない空気感を醸し出しています。
いや素晴らしい。リピーターが多い理由もよくわかる。
ただし、です。
解説がないゆえに、起承転結がわかりにくい。
この映画の主題はこの主人公の女性の喪失感と、彼女に寄り添う様々な人達との関わり。その関わりから、徐々に癒えていく主人公の心の傷に焦点を当てた物語、のようです。
ただし、ほとんど主人公について詳細が語られることはない。
主人公の心の動きについては、彼女のふとした行動(シンクに立ってボーっとしていたり、物凄い勢いで書を仕上げたり)で表面化していますが、基本的に主体的な人ではないので、活動的な観客だと観ててしんどいかもです。
なお、私はそこそこしんどかったです。あと15分尺が少なかったら頑張れたかもしれん(ラストでちょっと寝落ちしてしまった)。
でも、空気感は良いです。
あと30回は頑張って観たい。また寝落ちするかもしれませんが。
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