劇場公開日 2022年1月8日

「どこかに置き忘れてしまった感性と気遣い」春原さんのうた ハルヒマンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5どこかに置き忘れてしまった感性と気遣い

2022年2月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

何かと刺激的な作品が多い中、非常に静かに進行する映画です。そうすると何か物足りなく感じで、どーんと入ってこないのかという思いに駆られてしまいます。しかし、そこは抑えて画面との格闘です。
まず音。生活音が細やかに拾われて(挿入されて)います。沈黙の場面が多く、無音の効果を出しています。次に光です。少し暗めでしょうか。それから、ちょっとした動きを捉える。カーテンの揺れなど。繰り返しですが、騒がしい世の中では埋もれてしまうような要素を取り出してあえて観客に示しているように感じました。
それから、主人公に対する周囲の人々の気遣いも現実にはあまり見られないように思いました。そういう大事なものを押しつぶしてしまう現代社会を暗に批判しているとは捉えられないでしょうか。ケン・ローチ監督のように直接的ではないにしろです。
杉田監督作品の底流にある、人間観を感じます。

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ハルヒマン