「殺し屋とその妻と用心棒」ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
殺し屋とその妻と用心棒
普通は殺し屋から要人を守らなければならないが、こちらは訳あってその殺し屋を守るハメになったボディガード。
痛快アクション・コメディの続編。前作と併せて鑑賞。
にしても日本では、前作は配信のみで劇場未公開、今回は劇場公開とヘンなスタイル。観に行って、アレこれ続編だったんだ…と知った方も多いのでは?
前回の活躍により、賞も戴いて華々しくボディガードの世界へカムバック!…とはならなかった。
寧ろその一件でライセンスを剥奪され、“クロサワ”のトラウマ悪夢を見、カウンセリングに通うブライス。
カウンセラーから厄介払い…じゃなくて勧められて、初めて休暇を取る。
やって来ました、イタリアは(パンツみたいな)カプリ島!
銃も殺しも無い日々(正確にはまだやって来て12時間だけど)を満喫。
しかし!そんな彼はまたしても…
因縁の相手、キンケイド。
でも、キンケイドはキンケイドでも、キンケイドの妻ソニア。
新婚旅行でイタリアを訪れていたキンケイド夫婦。が、夫が何者かに囚われてしまった。
「マイケル・ブライスを呼べ」
ちゅー事で、ソニアはブライスを無理矢理…いやいや、協力を求め、夫を救出。
再会早々、お決まりのバトル・トーク。キンケイドは“ブライスを呼ぶな”と言った筈なのに、ソニアは“ブライスを呼べ”と聞き違えたようだけど…。
何はともあれ、救出。めでたしめでたし…って、早すぎない?
本題はここから。
直後、何者かに身柄を拘束された3人。
インターポールのオニールは、海運王アリストテレスがギリシャ再興の為にEUへ企てるサイバー・テロを突き止め、情報屋を使っていた。
ところが、その情報屋が殺されてしまう。殺したのは、ブライスら。この情報屋、キンケイドを拉致してひと悶着あって…。
情報屋を失ったオニールにより、ブライスらはサイバー・テロ計画阻止という任務を課せられる事に…!
殺し屋を警護する任務から、今回はテロ計画阻止任務へ。
再びタッグを組む事になったブライスとキンケイド。二人のやり取りはもはや安定。
今回これに加わるのは言わずもがな、キンケイドの妻ソニア。
前作では出番は僅かだったが、強烈なインパクトを残したソニア。女詐欺師。
夫を罵り倒し“ゴキブリ”と呼びながらも、愛している。キンケイドもそんな妻にゾッコン。
キンケイドも無鉄砲なら、ソニアもクレイジー・ワイフ。
そもそも序盤の銃撃戦は追っ手ではなく、自分のお尻を触った不届き者へのやり返し。
言動もアクションもヤベーくらいイカれてる。
爆弾仕込みの腕輪を付けられるわ、アリストテレスとも浅はかならぬ関係。そうそう、その昔、『デスペラード』で…って、これは違う作品か。
まあ確かに前作でチョイ役には惜しいキャラだったが、まさか続編では主役格でしかも物語の主軸になろうとは…。
続投サルマ・ハエックが男どもが霞むくらい見せ場をかっさらう。
アクションもパワフル。それ以上に強烈は、子供には聞かせられない言葉遣い。
その一方で、いい母親になりたいと願っている。
夫をゴキブリ呼ばわりしながらも、信じ愛す。“カルメン勘違い”は何だかキュート。あちこちでおっぱじめたり。ブライスに見せる母性も…?
それから、年増呼ばわりは厳禁。命が欲しかったら…。
サルマ・ハエックが楽しそうにノリノリ快演。彼女単独主演のスピンオフだって作れそう。
そんなクレイジー・ワイフに押され気味だけど、男たちの奮闘も忘れないで。
こちらが主役です。ライアン・レイノルズ&サミュエル・L・ジャクソン。
二人の掛け合いやアクションはさらにアップ。
只今キャリア絶好調のライアン。前作は真面目気味だったが、今回は持ち前のコミカルさは3倍増し。ジョークやメンタルダウンでカウンセリング通いやマクレーンばりのぼやき節や“未来の自分”と電話でお話。不運やトラブルいっぱいの巻き込まれ。そんな中で魅せる笑いやアクションやカッコ良さこそ、僕らのライアンだ!
サミュエルも『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『~エンドゲーム』でナシだった見せ場の鬱憤を晴らすべく、ハイテンション爆演。
新キャストでは…
今回の黒幕は、アントニオ・バンデラス。本作や『アンチャーテッド』で悪役続くが、余裕の存在感。
本を出すほどの伝説のボディガードで、ブライスの父に、モーガン・フリーマン。ハイ、言いたい事は分かります。キンケイドもそうだけど。義父。便りがいあって、ブライスもパパに認められたい一心だったけど…。
キレ者なのか無能なのかフランク・グリロも出ていて、またもやキャストはアメコミ関係者揃い。バンデラスだけ違うけど…。
にしても、アメリア何処行った? 美人さんだったんだけど…。
リチャード・E・グラントの贅沢なワンシーン無駄遣い(笑)
今回もアクションは“トリプルA”。
肉弾戦、銃撃戦、チェイスに爆破。
殺し屋vs殺し屋、ボディガードvsボディガード。
それらをキャストたちの絶妙な掛け合いやユーモア交え、本当に痛快。
今回もツッコミ所は多々。
ボディガードが殺し屋を警護するというのがポイントだったのに、今回はただのドタバタ巻き込まれアクション。
ブライスパパもすぐ察し付く。
ギリシャの経済破綻やサイバー・テロなど現実味あるポリティカル要素を取り入れながらも、活かし切れてない。あくまで物語の背景や設定。
いざ話が始まると、ひたすらノーテンキで痛快な80年代~90年代のノリの娯楽アクション。
まあ、良くも悪くもそれが面白味。
エンドロール後の“捧ぐ”がこれまたユニークの極み!
「死ぬ気で生きろ!」。中身ナシに見えて、ちゃんとブライスの再生物語にもなっている。
望む声が途絶えなければまだまだ続けられそう。
次はキンケイド夫婦に赤ちゃんが産まれて、『ヒットマンズ・ファミリー・ボディガード』なんて如何でしょう?
あ、でもそういや、“養子”になったんだっけ。