「アガペとエロース」猫は逃げた 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
アガペとエロース
「アガペ」とはキリストの無償の愛のことで、
「エロース」とは、プラトンの自己愛のこと。
(こういう単語を会話に潜ませると利口そうに聞こえます)
味澤監督(伊藤俊介)が、それをやります。
巧みな脚本でした。
もう、「うーんスゲェ」
と、唸るしかなかなかったですよ。
オズワルドの伊藤俊介(伊藤茉莉のお兄ちゃんなのね)
(さすがのお笑い芸人)
彼の出演シーンは爆笑でした。
愛妻家が建前の映画監督で、真美子に「浮気現場」を
パパラッチされる役。
昨今のセクハラ・スキャンダルもまな板に乗せて、
笑わせて貰いました。
ある意味で一番強烈な個性
(加齢臭&ニンニク臭の混合キャラ?=御免なさい)
彼の演じた映画監督の胡散臭さ・・・
(4人の主演陣をぶっ飛ばす勢いでしたね)
今泉力哉監督と城定秀雄監督が、互いに脚本を提供しあう
コラボレーション企画「L/R 15」の2作目。
1作目の「愛なのに」
(一方通行の愛の行方と、その機微がとても愛おしかった)
今作「猫は逃げた」は、
離婚間近の夫婦が、飼い猫「カンタ」を、
どちらが引き取るかで揉める。
その話しを軸に、互いの浮気相手が絡むストーリー。
時間軸が過去そして現在と、交差して、
説明して行く手法も良かったです。
(亜子と広重夫妻の「愛の歴史」が、浮かんできます)
「愛し合って、結ばれたのに・・・」
「なんで今、こうなってしまったの?」
猫ちゃんの演技をどうつけるのか分かりませんが、
(カンタは堂々の貫禄で役者でした。
(ニコリともしないのに、大人4人が右往左往)
題名は「猫が逃げた」出なくて、
「猫は逃げた」
この「は」と「が」の違い?!
ここに秘密が隠れていました。
猫の行方不明に、ある計画が絡んでいたとは!
広重(毎熊克哉)の恋人で後輩のカメラマンの
真美子(手島実優)が良かった!!
悪い娘かも知れないけれど、一生懸命なところ、頑張り屋のところ、
敵にはしたくないけれど、タフさがちょっと好き。
漫画家の亜子(山本奈衣瑠)の恋人の担当編集者、
松山(井之脇海)も可愛いかった。
手作り浅漬けとか薬膳茶・・・
スパイスになってましたし、
男の子が泣くと、
(凄く、ほだされます、男の人の涙に弱いので、)
猫を触媒に4人の男女の愛が交錯して、
喧嘩して、心の中をさらけ出して、
ラストはまさかの大団円。
とても面白かったです。