劇場公開日 2022年2月19日

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「絵がうまく描けなくて。オオカミなんですよねえ。」リング・ワンダリング 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5絵がうまく描けなくて。オオカミなんですよねえ。

2022年3月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

いつの間にか過去の世界に迷い込むが、そのことにさえ主人公は気付かない。気付かないほどに、ニホンオオカミを描くことに執着している。そんな笠松将がいい味出している。囚われている、ともいえるし、取り憑かれている、ともいえる。そう、監督の過去作「アルビノの木」に近い。
まるで定点観測のような、現在と過去。それは現実と異界でもあって、その境目として神社の存在があるのだろうな。さらには、漫画を描く側とその漫画の中の世界も交差して、表と裏が行ったり来たりと巡りながら彷徨う感覚で物語が進んでいく。まさに、リング、ワンダリング。
ただ、話がだるい。映像美で惹きつけることで、物語への集中力は保たれるのだけど、セリフの間が悪くて緊張がゆるむ。とくに、片岡礼子の演技の下手さはどうしたものか。いらだってしまった。
すべては、主人公が"最後に現れた二ホンオオカミ"に包まれたがゆえの幻想(つまり夢オチ)なのだとしたら、それはそれでおもしろい。

栗太郎