「胸アツなれど、歯痒さが残る完結編」ジュラシック・ワールド 新たなる支配者 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
胸アツなれど、歯痒さが残る完結編
"ジュラシック・パーク" シリーズ第6作。
"ジュラシック・ワールド" 三部作第3部。
通常スクリーンで鑑賞(吹替)。
新旧キャラクターが揃い踏みした瞬間の高揚感たるや、凄まじい興奮だった。交互に描かれていたそれぞれのストーリーが収斂し、ひとつになると云う構成が素晴らしかった。
1作目へのオマージュ(特に、1作目では電源をオンしに行ったけれど、今回は消しに行ったシーンが好き!)にニヤつきが止まらなかったり、時にハラハラしながら楽しめた。
ティラノサウルス・レックスとギガノトサウルスの頂上決戦は手に汗握るド迫力。人の関与する隙間が微塵も無い死闘に、人類がちっぽけな存在であることを感じさせられつつ、意外な助っ人の参戦など、ラストに相応しい名勝負だと思った。
だが、30年近くに及ぶシリーズの完結編として見ると物足りなさを感じた。人類と恐竜の関係にどう決着をつけるのかと非常に気になっていただけに、結局そこに落ち着いてしまうのかと、あまりにもあっさりした決着に不満が残る。
もはやその道しか無いであろうことは観る前から明白だったものの、誰もが予想出来る結末の斜め上を期待してしまっていただけに、肩透かしを食らったようでモヤモヤした。
どちらが霊長なのかと云う問題ではなく、同じ地球に生きる命として共存していくのが最も理想的ではあるが、その結末を選んだ時点で冒頭から状況は変わっていない気がする。
偶然、コロナ禍とリンクするようなテーマは(もしかしたら撮影中にコロナ禍を踏まえて脚本が手直しされたのかもしれない)、変わってしまった世界で生命はどう生きていけば良いのかと考えさせられるものではある。しかし、結末の匙を投げてしまった感に、人類はその問題に明確な解を見つけ出せるほどには成熟していないのかもしれないと感じた。
[余談]
邦題を変えて欲しい。前作もそうだったが、原題をカタカナに直しただけの方がきちんと意味が伝わるのではないか?
[以降の鑑賞記録]
2023/04/22:Amazon Prime Video(吹替)
2024/05/31:金曜ロードショー(地上波初放送)
2025/07/19:土曜プレミアム
※修正(2025/07/19)