「雑にして陳腐。これは酷い。」TANG タング tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
雑にして陳腐。これは酷い。
いくら、そういう設定であるとしても、主人公がポンコツ過ぎて、共感も感謝移入もできないのは致命的だろう。いったい、どんなトラウマを抱えているのかと思いきや、一度パニックに陥っただけで、それを理由に引きこもっているということに、まず呆れてしまう。いくらなんでも、メンタルが弱すぎるのではないか?さらに、ロボットの修理と人間の手術とを重ね合わせて、いちかばちかの当てずっぽうの処置で、自らのヘタレぶりを克服するというのは何事か?こんな医者には、絶対に診てもらいたくないと強く思ってしまった。
ロボットにも魅力がなく、とても愛着が湧くような代物ではない。主人公が、どうして中国や宮古島に行ってまで修理をしようとしているのかが理解できないし、ロボットが主人公になつく理由も分からない。感情を持ったAIという設定も、その凄さが実感として納得できない。
陰謀に立ち向かうというプロットにしても、手強い敵が出てこないため、ハラハラドキドキの欠片も感じられない。ただでさえ間延びした展開なのに、お笑い芸人のダラダラしたやり取りが、さらに間の抜けた印象を増幅させてしまっている。
とにかく、納得のいかない設定と、取って付けたような展開ばかりで、「おいおい、そこは、そうじゃないだろう」と、心の中でツッコミ続けている自分に気付く。ロボットが記憶を取り戻す場面や、夫婦がよりを戻す場面は、本来であれば感動的なクライマックスになったのであろうが、まったく心が動かないし、かえってシラケてしまった。
CGも雑だし、近未来の描写もセンスがないし、見るべきものが、驚くほど何もない映画だった。
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