「被写体にも監督にも魅力がない駄作」クレストーン Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
被写体にも監督にも魅力がない駄作
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監督は、初めはもっと良い映画になると期待して、高校時代の男友達を撮りに行ったのではないだろうか。
音楽を作る人間を中心にして集まった、砂漠のコミュニティ。
ところが行ってみれば、薬物中毒のアマチュア音楽家のセコい集まりでしかなく、友達も昔と様子が変わっており、ガッカリしたと思われる。
「持続可能なユートピア作りを目指す彼らは物質社会を批判するが」、実は、口先だけで、まともなことは何もしていない。
7人が群れている集団だが、心の中はバラバラに見える。
リーダーのスロッピーは、監督の友達のサッドボーイを子分のようにし、その他の連中とは必ずしも打ち解けていない。
監督は、彼らにとって音楽作りは、“現実逃避”でしかないと看破する。
一方、監督が、彼らの何を撮りたいのかも、さっぱり分からない。
熟練したドキュメンタリー作家とは、到底思えない。
一見、彼らの“観察映画”のように見えるが、演出や“ヤラセ”もある。
「山火事が近づくと、彼らのユートピアは“綻び”を見せ始める」という宣伝文句もウソで、山火事なんかどこ吹く風だ。
自分は、彼らのコミュニティが“綻んで”、崩壊していくのようすが知りたくて観に行ったのに、騙された気分だ。
監督は、「世界の終わりまで」そうやって生き残ってくれ、みたいな嫌味を言う。
被写体にも監督にも、魅力がない駄作だ。結局、何も起きない。
アメリカには、広大な国土と大麻という資金源のおかげで、ネットを駆使する新しい時代のヒッピー的文化が息づいている、というだけの作品だった。
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