ラン・ハイド・ファイトのレビュー・感想・評価
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ありそうでなかった『ダイ・ハード』ミーツ『高校大パニック』、あらすじ自体はほぼ『竜とそばかすの姫』ですがこっちの方が6億倍スカッとします。
主人公は17歳の高校生ゾーイ。母を亡くしたことで父トッドとの関係がギクシャクしているが、退役軍人の父から銃の扱いを叩き込まれていて高校にもサバイバルジャケットを羽織って登校する風変わりな女の子。いつものように親友ルイスの車で登校したその日は最上級生だけにいたずらが許された“いたずらの日”。皆が浮き足立っているそんな日はゾーイにとって居心地が悪くてしょうがない。そんなタイミングでルイスにプロムに誘われたゾーイは動揺してトイレに入るが、その時カフェテリアにバンが突入。校長から退学勧告を受けたトリスタンをリーダーにした武装した4人組に制圧される。難を逃れたゾーイは他の教室へ向かい異変を伝えようとするが、タチの悪い冗談だと誤解されて相手にされず・・・。
頻繁に発生する高校での銃乱射事件はドキュメンタリやドラマでは散々取り上げられていますが、純粋なB級アクションの題材としては意外と新鮮かも。たまたまトイレに入っていたために難を逃れてテロリストと戦うというのはもろ『ダイ・ハード』、そこに“数学できんがなんで悪いとや!“の名セリフが脳裏に焼きついた昭和のカルト作『高校大パニック』が融合された感じですが、さらに異色なのは実はオカルト風味が強めなところ。孤独な戦いを強いられるゾーイをサポートするのがなんと亡くなった母ジェニファーで、たびたびゾーイに話しかけてくるんです。母を亡くしたトラウマがテーマという点では『竜とそばかすの姫』と同じですがここまでストレートに描写されると『シックス・センス』かよ?と言いたくもなりますが、本作のスゴイところはそんなやりすぎ感をトーマス・ジェーンがさりげないサポートであるべきところに着地させるところ。最高かよ!と全国5000万人のトーマス・ジェーン好きが拳を振り上げました。
あからさまに低予算でド派手な銃撃戦もないですが、それでも何の罪もない先生や生徒が瞬殺される凄惨さは情け容赦なし、それゆえにボロボロになりながらもテロリスト一人一人と対峙するゾーイの勇敢さに胸を打たれます。ラストシーンはアノ映画のラストによく似ていて爽快感がハンパないのですがタイトルは念のため自粛しておきます。
ゾーイを演じるイザベル・メイの凛とした佇まいはフローレンス・ピューのそれを彷彿とさせるもので、また将来有望な女優が出てきたなと感慨無量。もう一点本作には見所があって、それは銃乱射の現場を何とか収めようと外部で奮闘するターシー保安官をトリート・ウィリアムスが演じていること。『プリンス・オブ・シティ』、『ゾンビ・コップ』、『警察署長』等数多くの作品で警官を演じてきた名優がビシッと脇を固めているのでどっしりとした安心感もあります。スクリーンで本作を観ることが出来た人は一握りの映画ファンだけ、このままB級アクション映画史の中に埋もれていく運命の作品だと思いますが、WOWOWがそのうち拾ってくれるでしょうから運がいい人はそこで観れると思います。
トンファー…(´・ω・`)
卒業式が近づきプロムや卒業アルバムの製作が進む中で発生した学校内のテロ事件から、皆を救い出すべく奮闘する女子高生の話。
母親を亡くし他人に壁をつくる主人公が、唯一心を許す男子生徒と口論になり、トイレに逃げ込んでいる最中、カフェテリアに車が突入し、複数の生徒が殺され巻き起こるストーリー。
ツイているのかいないのか、事件に気付き、一旦は屋外に逃げ出したものの、教室等に残った生徒達に知らせているうちに再度巻き込まれ、イヤイヤながら機転をきかせて動き出すという素人版ジョン・マクレーン状態。
勿論と言ったら失礼だけど主人公が素人女子高生なのでド派手なアクションがある訳もな無くそれなりで、ラッキーとしか言えないご都合主義満載で展開していくけれど、それがヌルかったりしても一生懸命なので許容出来るし、vs男子高生の話術や挑発ならお手のもの。
幻視幻聴とかはあまり好みじゃないけれど、事件前からそれはあったし、自問自答の心の声や葛藤という位置づけと理解出来るので問題無し!ちょっと多過ぎたけど。
スカッと爽快とはいかないところも多いけれど、これはこれでとても面白かった。
『ミスト』のお父さん登場
このお父さん、どこかで見たことがあるかと思ったら、『ミスト』で絶望のどん底に突き落とされたお父さんじゃないですか。今回は、どんな役どころなんだろう。
父親からサバイバル術を叩き込まれている女子高生のゾーイが、スクールシューティングを起こしたグループと戦う話と聞いていたから、
『サプライズ』みたいに主人公の女の子が、父親から伝授された技を次々と繰り出す展開を期待してしまった。
予想とは違って、結構なシリアスモードで、ゾーイは傷を負いながら必死で先生や生徒を守りながら戦っていく。学校に闖入したグループは、頭は切れるけれども鬱屈した全能感を持ったリーダーとリーダーに洗脳された兄妹といじめられっ子の4人。犯人グループは用意周到に準備をしていたため、特殊部隊も簡単に突入できない。
冒頭とラストが韻を踏んでいて、構成はなかなかいいし、ゾーイにかなり感情移入できる。ファンタジー要素がなければ、もっとカタルシスがあったんだけどね。
ママ登場がくどかったかなー。
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