「才能を使い消化する気味悪さ、野蛮な言葉遣いも肌に合わず」ビルド・ア・ガール たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
才能を使い消化する気味悪さ、野蛮な言葉遣いも肌に合わず
前向きになれるような言葉が連なったパワームービーだけど、成功した人が立ち止まって気づいて軌道修正した話にしか写らず。出てきそうな表現で言えば、ゴムの匂いがする映画、みたいな…。
自分もライターや広報といった、言葉を使って人に届ける仕事が出来たら…なんて思っている。その点、ジョアンナはその時点で成功者だしエリートコースを歩いている。しかも、文才が元々あった上にロックカルチャーを綴っていくという仕事まで手にしている。なかなかなれる事じゃない。そこに対して自分を変えていかなくてはいけない狭さみたいなのが随所に詰まっていて、自分にはそれが息苦しかった。彼女が変わっているのではなく、彼女を踊らせたフロアがでっかくなっただけなのは明白。正直パワーはあるけど自伝的な要素が強くて見ごたえはあまり感じられなかった。
言葉選びに品がないので、そんな人たちがカルチャーの一端を担っているのもなんだか寂しい。アーティストの苦悩を劇薬のような言葉たちで評して成り上がっていくのはやはり良いものとは言えない。しかし、1度立ち止まって、ドリーワイルドに自身を擬態し、主人公として人生を楽しむ彼女のエネルギーはやはり凄く強い。観ていて感心する。ビーニー・フェルドスタインのアグレッシブな姿はこちらも前向きにさせてくれる。ちょっと観たくない世界を覗いちゃった気がしてならない。
メッセージに対しての気付きは何処かで出来なかったと引っかかるばかりだが、立ち止まってまた進む姿は勇気をくれる。洋画の耐性が足りないのかな…自分。
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