「英雄(not)pay」英雄の証明 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
英雄(not)pay
クリックして本文を読む
イランというと、マスコミの報道に接していると“イラン核合意”とか“親イラン武装組織”など剣呑なイメージしか入って来ないのだが、このファルハディ監督やアッバス・キアロスタミの映画を見ていると、市井の人々の生活や喜怒哀楽はぐっと近しいものに感じられる。そういう意味で映画や文学などの効用は計り知れない。
それにしても、この監督の映画はスカッとしない展開が多い。おそらくそれこそが評価されている点なのだとは思うが。ミステリー要素が加味されているのでつい惹かれて見てしまうが、快刀乱麻を断つ解決には導いてくれない。主人公を巡って毀誉褒貶が揺れ動く中、観客は第三者として画面越しにずっとその行動を見ているので、どうにも不誠実で信頼できない人物なのは明らかに思える。この主人公にどう寄り添えばいいのかわからないのだ。
イスラム圏の人は、男性は皆髭を生やしているし、女性はチャドルやニカブを着ているので、識別が難しい。私は当初、金貨を取りに来たのは主人公の恋人かと思っていた。
コメントする