「どりーんざまりあれてぃ」すべてうまくいきますように ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
どりーんざまりあれてぃ
いまやフランスの国民的俳優となった美熟女ソフィー・マルソー見たさに、どんな話か知らぬまま鑑賞。昨年末、ラ・ブームが公開40周年とかでリマスター版が公開されてたけど、本作上映はそのタイミングもあるのだろう。ただ、ごく最近、高齢で認知症の父を看取った個人的体験があり、自分の場合との比較が頭にチラついて素直に作品世界に没頭できず。
身内の死(と言っても自殺幇助による安楽死の日取り)が迫ってどこか落ち着かない気持ちをもちながらも、ジム行ったりお誕生日会やったり日常は日常としてすぎていく娘側のところはわかるんだけど、父が脳卒中で倒れてからだに麻痺が残ったとはいえ、孫の演奏会を鑑賞したりレストランで食事できるほど快復してるのに、まだ死にたがるか?普通はあらためて生を希求するもんじゃないの?と、根本のところでモヤった。
まあ、パテックの時計をせしめたクソ野郎が愛人だったりすることから思うに、金持ちならではの孤独なんかがあったのか、それとも人生を全うし尽くしたのか。また、頑なに死を望む父とその判断を受け入れる娘たちの姿も、個人とその意思を尊重するフランスならではなのかな。鑑賞中はやや眠かったが、観終わった後でいろいろ想像の余地がある作品ではあった。
PLAN75を引き合いに出している人もいるようだけど、制度で死ぬように追いやられる世界と、わしゃ何がなんでも死にたいから死なせろ!というのでは、話としては真逆のような気がする。関係ないが、星新一のショートショートで、死後の世界がめっちゃ快適だとわかって人々がみんな自殺するという話があったっけ。
回想シーンを最新CG技術を使って少女時代のソフィー・マルソーでやってくれたら★をプラスしたい。