劇場公開日 2023年2月3日

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「尊厳死が、金持ちの道楽に思えてしまうのはいただけない」すべてうまくいきますように tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0尊厳死が、金持ちの道楽に思えてしまうのはいただけない

2023年2月8日
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なぜ、父親が、あれほど死にたがっているのかが、まず、分からない。
別に、寝たきりになった訳ではないし、耐えられない苦痛に苛まれている訳でもない。
半身が麻痺しているとはいえ、車椅子を使えば、孫の演奏会を鑑賞することもできるし、レストランで美食を楽しむこともできる。
そうした姿を見ていると、父親が望む尊厳死が、金持ちの道楽のように思えてしまうのである。
それから、登場人物の関係性というか、彼らが抱えている確執のようなものが、よく分からない。
劇中、2度ほど、主人公である長女が子供だった頃のエピソードが描かれるのだが、それでも、彼女と父親との関係性は、はっきりしないままである、
たまに顔を出す母親は、さすがに存在感があるものの、彼女と、父親や娘たちとの関係性も、今一つ、明確に描かれない。
極めつけは、「くそ野郎」で、一体何者なのかが、しばらくの間、分からないままだったが、終盤で、ようやく父親の恋人だったらしいことが判明する。それが、いかにも当たり前のように描かれているのだが、フランスでは普通のことなのだろうか?
いずれにしても、登場人物の関係性がよく分からないため、彼らにすんなりと感情移入することができないのである。
それから、尊厳死に賛成だとか、反対だとか、そうした政治的なメッセージを声高に訴える映画ではないのだが、それにしても、すべての描写が淡々とし過ぎているのではないか?
例えば、警察に呼び出されるくだりなどは、ドタバタ劇として面白くなりそうなのに、やけにあっさりと終わってしまうし、ラストに、心を揺さぶられるような展開が用意されている訳でもない。
娘たちの葛藤を描くにしても、もう少し、映画的な盛り上りがあっても良かったのではないかと、物足りなさを感じてしまった。

tomato