「風が吹いている。」3つの鍵 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
風が吹いている。
2021年。ナンニ・モレッティ監督。ローマのそこそこいいマンションに住む3組の中流家庭の家族。それぞれの家族に起こるそれぞれの事件が家族の形を変えていく、という話。
親の過剰な期待から壊れていく息子(交通事故)、小さな娘と老いていく隣人を信じられない父(公園での迷子)、孤独のなかの出産におびえる妻(妄想)。3組の家庭が抱える切実な問題とそれぞれが抱える秘密が、長い年月の間に変形しながら、解決したり、こじれたりする。
いくつもの死といくつもの出産があり、そこに変化が生まれる。特に長年連れ添った裁判官の夫が死んだあと、哀しみつつも解放感を感じずにはいられない妻の姿が美しい。それまで風通しの悪かったマンションの部屋には強い風が吹いている。
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