TITANE チタンのレビュー・感想・評価
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芸術作品であることは確か。予告編だととても倒錯的な感じがしたのだ...
芸術作品であることは確か。予告編だととても倒錯的な感じがしたのだが、むしろとても素朴な映画。
ヴァンサン、ランドンは好きな俳優だった。彼の渾身の作品となったと思う。
ジェンダー的にここまで壊乱されてる映画はないだろう。セクシュアリティも。もちろん、アイデンティティも。チタンは、自閉症的な性格の隠喩でもある。この意味では決定的に新しい。
無茶苦茶暴力的。愛に対して攻撃する反応が自閉症的。
消防士のとてもアルカイックなマッチョの世界の中でそれが繰り広げられるところが、この監督の才能かと。
最初、ヴィンセントの息子への迫り方が、監督も言うようにとても暴力的で許容できないと思った。でも、根底にある愛がアレクシアにとって愛となるという展開が、倒錯ではなく、言ってみればすれ違いとして愛を成立させる。Je suis laがこの映画のキイである。
きついくらい強烈な印象
きつかった。
画面を凝視できないくらい、グロくて痛いシーンの連続。
手術、刺殺、自らの身体への自傷行為などなど。
『クラッシュ』の異常性・変態性を思い出しつつ。
お話自体に、基本、意味はあまりないのかも。
事故を起こす前から主人公・アレクシアは頭がおかしいし、事故の原因自体がアレクシアなので、感情移入先としては成立しないキャラクター。
というか嫌悪感しか抱かない。
そんな異常行動する女性を、息子と信じたいノイローゼっぽい高齢の消防士が守ろうとするのだが………
異常を変態で包んだ流れを、真面目に考えても仕方がなく。
好意的に考えたら、聖書のキリスト生誕エピソードをモチーフにしてんのかな? みたいに思うことも可能かもなぁ、くらい。
考えるな、感じろ系だと思いました。
タイトルなし(ネタバレ)
こんな映画がパルムドールを取るなんて!、もちろんいい意味で。わりかし多くの映画を観てきたつもりだが、まだこんな映画体験ができるんだ!と素直に喜んでしまった。
前半は車や殺人、セックスといった激しめの映像の連続で頭がぐらぐら揺れる感覚を味わい、そこからの緩急で後半のパートのゆるやかなストーリー展開。頭おかしなります。主人公アレクシアが歩む逃亡の旅の先にたどり着いたラストはある種新人類の誕生のようにも思え、この先の物語を夢想してしまう。
個人的に好きな部分は、中盤から後半にかけての男性のふりをしつつも妊娠している女性であるという展開。男装する女性はストーリーでよく見るが、その女性が妊娠している(女性にしかできない象徴的な現象)というおかしさ、不気味さ。これがあってグッと物語に引き込まれた。
そう思わなかった
このイカれた感じはジャンルレス
カンヌのパルムドールって個人的にハズレの確率が高い。フランス映画独特のオチのなさや淡々と進む物語が苦手なことも影響している。それでも本作はちょっとイカれてる感じがしたので観てみることに。
もういきなりイカれた展開。モデル(ダンサー?)仲間の家のシーンはイカれすぎてて少し笑ってしまった。
でもこの先は暴力シーンが控えめ。代わりに、失踪していた息子になりすまして消防士になるというめっちゃ変な展開。ジェンダー問題や母性の問題が絡み、さらにはSF?オカルト?的な要素も入って、いったい何の話?と思いながら、なんとなく感動させる終わり方。なんという力技!
個人的には感動はしないし、なんにもスッキリしなかった。でも、変な映画だったなという強い印象だけは残ってしまった。たしかにイカれた映画だ。でも、やっぱりパルムドールだなとも思った。
色んな痛覚を刺激される変態映画
耳を貫くような金属音が全身を駆け巡る
幼い頃、交通事故で頭にチタンを埋め込んだ少女アレクシア。
それ以来彼女は車に取り憑かれ、遂に車とセックスをする。
そして、とある罪を犯した彼女は行き場を失い、ひょんなことから消防士のヴィンセントの元へ身を寄せる。
彼は彼女を10年前に行方不明になった自身の息子と信じて共に暮らした。
ただし、彼女の体のある変化は止まることなく…
まず、
勝手に悪趣味なド変態胸糞映画だと思っててごめんなさい。
キモくて好きとか言おうと思ってた…
めちゃくちゃ真面目で純粋な愛の物語だった。
前半は不穏さが見え隠れする。
車のエンジン音を口ずさんで父親へちょっかいを出したり、激しい炎の描かれた車の上でショーガールとして大股広げて踊ったり、突然殺意剥き出しで耳にかんざしブスブス刺したり。
てっきりアレクシアが悪に堕ちていくのかと思いきや、後半ではヴィンセントの“息子”としてどんどん更生していくのだから驚き。
「車、性、狂気」そういった言葉から鑑賞前に想像していたのとは全く違う落とし方。
マタイ受難曲の流れるクライマックスには、受胎の苦しみと生命の神秘を感じた。
「俺がついてる」
鼻を変形させるために洗面台に顔を打ち付けるシーンは流石に観ているだけで痛い。他にも痛々しいシーンは多め。
そしてやはり、車とのセックスと車(?)を出産するシーンは衝撃的で頭から離れない。
これが本当のカーセックスだ⁉︎
「愛」に対する一つのアンサー。
キリスト教を絡めて、2020年代の新たな愛の価値観が生まれた。
こういう作品に平気でパルムドールあげちゃうカンヌって一体…
まだパルムドール作品6本しか観てない🔰だけど今のところ全部ハマってるかんね。本当に信頼できる。
来年はどんな傑作が選ばれるんだろうか。
※補足
パンフレットのデザインがこれまた斬新でカッコ良過ぎて大興奮。
迷わず購入させて戴きました。
やんべえ。
幼い頃の交通事故で頭にチタンを埋め込んだアクレシアは車へ愛情を感じるようになり、ついには殺人を犯し、失踪事件で行方不明とされている少年になりすまし、その父親と奇妙な共同生活を送る話。
車の魅力に取りつかれた人達を描いた『クラッシュ』や遊園地の遊具に愛情を描く女性を描いた『恋する遊園地』(これもフランス映画)、過去に似たような作品はあるけど、今作が1番機械に恋するとはどういうことか分かりやすかった気がする。
アクレシアの車への欲望ってマッチョ的なものへの憧れと似ていて、多少雑に扱っても壊れない・逃げないかつ、大きな包容力(?)と心地の良い重低音。最後のふたつがマッチョかは置いておいて、これって逃亡先に出会うヴィンセントぴったり。
前半でアクレシアの近くにいる人達は女性や男性でも弱かったりスキありまくりの普通の人達。でもヴィンセントは消防士でムキムキ、過剰なマッチョイズムを持つアクレシアにとっての初めての生き物としての大きな壁。でもそれこそアクレシアが求めてたもので、"先のとがったものを指してもピンピンしてる"完璧な物体だったんじゃないかな。
一方でヴィンセントも息子への少し奇妙な愛情を持っていて、それが上手く女性だけど男性のふりをしているアレクシアとマッチ。お互い本当は噛み合ってないのに、自分が求めるものを勝手に相手に投影して奇妙な絆で結ばれる。そしてたまに「そういうのは好きじゃない!」みたいなのが垣間見えた時の、微妙なガッカリ感がちょっと面白い。
物に愛情を持つってまさにこういうことなんだろうな。自分の嗜好にあった見方をすると、物だからいつでもそれに応えてくれる。全然理解できる感情だなって思った。だって冒頭の車の重低音が心地良いと感じた人はきっと少なくはないでしょう。
痛い痛い痛い
とにかく痛点が刺激されるから、鑑賞するのにもカロリーを消費する。アレクシアが相手に与える暴力的な苦痛も見ていて辛いんだけど、アレクシアが自分に与える痛みのシーンは、お尻の穴がキュッとしまってしまう。
前半は、エログロなんだけど、テンポも良くバックに流れる曲も退廃ムードを加速させるドライブ感がある。破滅に向かって一直線と思わせたところで、モードチェンジ。
ヴィンセントとの親子ごっこが始まってからは、ちょっと退屈な時間が流れる。退屈なんだけど、物語の終着点が気になるので眠気はこない。
ステロイドを使ってまで老いに逆らうヴァンサンは、男性性に囚われた人間だが、その彼が
母性に目覚めてしまう。死と再生の物語ということになるんだろうけど、ナンセンスの積み重ねで、それを語られても何も感じない。ただ、記憶には絶対残る作品。
今年一番の衝撃的な作品
狂気の向こう側にわずかに見える希望の光。自責でない狂気を背負わされた人々にも救いがあるのではないかという、ささやかな希望を抱きます。毎日絶望的な情報にさらされていて、皆さんも滅入っているのではないでしょうか。
脳みそがブッ飛んだ
私は作中の物事を予想しながら観るタイプですが、今作は予想を覆す内容でした。好みがわかれる映画だと思うのですが、度胸試しに最適。ちなみに私は嫌いじゃない映画でした。
車とセックスして妊娠した時、私の脳みそは臨界点を突破しました。
殺人、放火&親殺し、なりすましを平気に実行する非道な主人公ですが、臨月状態になったとき彼女に母性が生まれ、子供を産む瞬間は親戚気分で観ていました。
常識がことごとく外れるので、映画鑑賞が趣味な人はぜひ観てみてください。
フランケンシュタインのような映画
何を見たのか未だによく分からない
ものすごい存在感
序盤からすごい攻めてくる作品。
エログロや鉄の侵食等にどうしても最初は「鉄男」を感じてしまいました。石川忠のような音楽もそう思わせるのでしょう。後見る前は「クラッシュ」?なイメージもありましたね。
ピリピリとした空気の中で、自身の作品「RAW」とさりげなく関連性を持たせているのがにくいです。
まず前半は随所で痛みを感じるので、観ていて結構力みました。
主演のアガト・ルセルが正に体当たりの演技で、ほとんどセリフはないのにものすごい存在感なんです。これで映画初出演は驚異。
ヴァンサン・ランドンも秘めた熱量が滲み出ており、この二人の狂気の絡み合いが作品の見どころでしょう。
人間性を放棄し死へ進んでいた彼女は、嘘で築かれた歪な生活を経て心を知り温もりを取り戻し、そして最後は愛が生まれる。
これは今年見た中でも、ずば抜けて印象を残す作品でした。
かなり評価が割れる作風なので、是非とも自身で体感してみてください。
かなりの熱量です。
配信では味わえない
『RAW 少女のめざめ』、日本公開前から評判は聞いていました。しかし、結局私が観たのは配信(自宅テレビ)だったせいか、正直な感想あまりハマれませんでした。ところが同監督、「2作目はパルムドールを獲った」と。そこで「今度こそは」と劇場鑑賞です。
まず一言でいうなら「イカれてます」ね。この後も数回言いますが、このワードは褒めてます。そもそも公式ページにありますが、「頭蓋骨に埋め込まれたチタンプレートが引き起こす[突然変異]。」って設定、なんじゃそりゃ、です。
序盤、主人公の「イカれた彼女」の言動に「このペースでこれが108分続いたらどうしよう、、、」と心配になるほど。観ていて身体がこわばります。そして「あと何人いるの」の天丼についつい吹き出してしまう。極まると笑えるものです。
中盤以降、「イカれた彼女」ですら当惑する「イカれた彼」の登場で様相が変わります。そして、この二人が徐々に歩調を合わせると、観ていて何だか落ち着いたように錯覚します。でも、劇中の第三者たちを通して「いやいや落ち着いたらますます変だから」と思い起こされます。まるで、観ているこっちが中毒起こしているようです。
終盤、もう隠しきれない[突然変異]がどうなるのか、そしてこの二人の運命は。。。108分、私はいったい何を観せられたのか。もうクラクラです。でも多分、これも配信で観てたらここまでハマれなかっただろうと思います。
カンヌ、さすがにお目が高い。
人類の進化。少女は神の子を宿す。
ガイアの夜這い
映画タイトルの『TITANE』は古の神々“タイタン”を表現しているのだという。主人公のアレクシアは原初神ガイアで、その父であり夫ともなる?消防士ヴァンサン(ヴァンサン・ランドン)は天空神ウラヌスのメタファーであると、ジュリア・デュクルノー自らがインタビューで語っている。
濱口竜介の『ドライブ・マイ・カー』やレオス・カラックスの『アネット』と争ってみごとカンヌ映画祭パルムドールに輝いた作品。幼い頃の交通事故が原因で頭にチタンを埋め込まれたアレクシアが、人間よりもクルマに欲情するという変態性癖ばかりが注目されているが、本作品の趣旨は別のところにあるような気がする。
この新人女優さん、服を着てる時間の方が短いんじゃないのと感じるくらい、映画開始から終わりまでほぼ脱ぎっぱなし♥️なのだが不思議とエロくはないのである。肝心のカーセックス?シーンも、どこがどうなっているかようわからんよう?観念的に撮られていて、この辺りは女流作家ならではの美意識とでもいうべきなのだろう。
自らファンと認めるクローネンバークへのオマージュだろうか、それとも6歳の頃に見て衝撃を受けたという『悪魔のいけにえ』がジュリアに影響を与えているのだろうか、車とまぐわったアレクシアにおとずれるある身体の変化などは、非常にグロテスクに描かれている。もしかしたら作風としてはギレルモ・デル・トロにより近いのかもしれない。
血のつながりのないヴァンサンの息子になりすますため鼻を潰し、胸と○の膨らみをガムテープでグルグルまき、おまけに身体中傷だらけ、穴という穴?からガソリンのような黒い液体を噴出するアレクシアことガイアは、環境破壊しつくされた地球のメタファーなのではないだろうか。そんなアレクシアを息子と信じこむ妄想オジサン=ヴァンサンの職業が消防士という設定も何やら意味深なのである。
異性愛や同性愛、連続殺人と家庭崩壊、マチズモVSフェミニズム等々、今まで普通の映画がテーマにしてきた社会現象やイズム的要素にすべてコメディ演出を施し笑い飛ばしながら、この若き女流監督は問題山積のEUを産んだ始祖オリンポスの神々が戦いを挑んだと伝えられる原初神=タイタンズに精神的支柱を求めているのである。
頻発する自然災害にコロナ禍、そして昨今の世界紛争....このカオス渦巻く地球で生き残るためにはもはや原初神タイタンズにすがる以外に術はないのではないか。若い人たちがそう思ったとしても致し方無い気がするのである。ラスト、ヴァンサンが抱き締める“鬼っ子”が、現在EUと敵対中の“あの方”の分身であるかどうかはまた別の話なのであるが。
人格崩壊したアレクシアの妄想か?
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