「何も選択しないという選択」わたしは最悪。 REXさんの映画レビュー(感想・評価)
何も選択しないという選択
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「女性はこう生きねばならない」というくびきから解放されたものの、決断をすることの責任感は増した現代女性。
愛されること・結婚すること・子どもを産むこと。
自分に確固たる「核」がない故に、パートナーと暮らすことで「自分の人生を生きている感覚がしない」または「人生のわき役のような気分になる」という物足りなさを抱いているユリヤ。
自分に重なる部分もあり、直視できない痛みがあった。やりたいことがありすぎて、何も成し遂げていない焦燥感…。
主人公は傍から見れば、複数の男性から愛されて未来を望まれて、幸せになれる可能性に満ちている。誰ともパートナーシップを築けなかった人からみたならば、なんてもったいない、羨ましいと思われる立場であることは間違いない。
でも、愛を受け入れたら最後、自分は「パートナーの恋人」以上の肩書は持てないし、子どもを産んだら最後、子育て中心の人生になってしまう。承認欲求はあるが自己肯定感は低め。
だから「どんな選択肢も選びたくない」。ユリヤを通して、監督はそんな複雑な現代女性の揺らぎを鋭く突いていると思う。
生理がきたのか流産したのかわからないが、最後のシャワーシーンのユリヤのほっとしたような顔が印象的。
でも元恋人の死に際からも目を背ける姿は、まさに最悪だと思った。
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