「超絶!意地悪ブラックコメディー!!」ベネデッタ 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)
超絶!意地悪ブラックコメディー!!
映像が美しいですね。
ほぼ中世の宗教画、そのまんま。
中世のシスターの話と言うと堅苦しいのかな?と
思いきや、なんと言う俗っぽくて生臭い映画か(爆笑)
主人公のベネデッタ!
始まりからこの子、思い込み激し過ぎてやばくね?
と、思わされるエピソードが詰め込まれます。
修道院の生活の中でも、
そこそこ裕福な暮らしをしていたらしい少女にとっては
結構きつい暮らしが続くので、
自分はイエス・キリストと特別な絆があると言う思い込みを
更に強く持つようになってゆく。
その行動、果たして本当に思い込みか?
それとも全て演技なのか?
最初はそこが気になるのだけど話が進むうちに
ベネデッタよりもその周囲の権力者達が
己の特権と利益に群がりしがみつく、
醜さの方がどんどんとクローズアップされて
肉らしさを通り越して笑えて来てしまう。
中世の世界を完全再現した贅沢なルックに隠された
超絶!意地悪ブラックコメディーです。
で、月に8回程映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
鬼才ポール・バーホーベン監督
1938年7月18日 御歳85歳!
撮影は1年とか2年とか以前としても80歳過ぎた監督の
作品とはとても思えない画面上の妥協の無さ!
加えていい意味で予想を裏切る展開!
実在した修道女の記録と言う時点で驚きだけど、
それを更に監督の味付けが、生々しくも可笑しいシーンへと
仕上げられて、観る者を退屈させない。
例えば、ベネデッタとベネデッタが助けたある少女とのシーン。
終わったらこれで〇〇するのよ。
と言いながら、壁一面に積み上げられた藁の束から
一掴み引き出してそれをするシーン(爆笑)
確かにこの時代ならそうなるわね。
更に末端の修道女達には質素、倹約、禁欲を強いていながら
自分の食卓には山ほどのご馳走様を並べて、
出てきた妻は妊娠中!と言う権力者の振る舞い!
なんだよ!この俗物野郎!!
とことん権力者の欺瞞を嘲笑う監督の目線。
「ロボコップ」の一作目と
前作の「エル」の時も思ったのだけど、
ウディ・アレン監督の様に、若い女性を理想化したり
偏った愛し方をするでも無く、
女性の美しい面も狡い面も同じように人として描く
バーホーベン監督の女性を観る目が好きです。
年齢が心配ですが次回作も期待していたい。
ずっと待っていたいですね。