「権力は腐敗する!」ベネデッタ 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
権力は腐敗する!
この映画を観て、真っ先に思い浮かんだ言葉だ。修道院長は、信仰よりもお金が大事にしか見えないし、教皇大使は、メイドにまで手をつけるような男だ。そしてベネデッタというと、信心深く、数々の幻視を見て、自らキリストの花嫁と疑わない彼女だが、修道院長室で禁じられた行為を行う。信じられないのが、それをキリストが容認するかのように、ベネデッタ自身は思っていて、自分にとって都合の良いキリスト像を作ってしまう。本当に理解不能な女性だ。自分の大事なマリア像をディルドに使うなんて考えられない。スキャンダラスな内容ながら、想像していたより扇情的に描かれていなかった。むしろ淡々とストーリーが進んでいった印象だ。バーホーベンは84歳。その歳で、枯れたり、丸くなったりせず、こんな過激な説教臭くない映画が撮れるなんて、拍手するしかない。
コメントする