「キリストの代わり、男の代わり。」ベネデッタ 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
キリストの代わり、男の代わり。
2021年。ポール・バーホーベン監督。フランス田舎町の修道院で暮らす若い女性はキリストに直接語り掛けられるビジョンを見る。ビジョンは次第にエスカレートしていき、実際に聖痕から血を流すまでに。「奇蹟」として持ち上げられ、修道院長にまでなるが、かつてからの同性愛行為や奇蹟の偽造を疑われ、という話。
同性愛については明確に描かれるが、奇蹟については真偽があやしい「謎」として描かれる。たしかに、幼いころから思い込みが激しかったり珍しいことが起きたり現実を「解釈」した夢を見たりしているわけなので、極度にナイーブで影響を受けやすい若い女性でもあり、また、野望を抱いた策略家でもあるのだろうが、どちらともいえない「謎」であることが重要。神がかった「謎」の主人公の周りに、現世的で自意識過剰な男たち女たちが配置されている。
「謎」であるから、どんなことでも「神の思し召し」として受けとめ、立ち向かってしまう。頻繁に裸を披露しているが、たくましく頼りがいのある肉体だ。男など必要としないはずだ。キリスト以外は。そんな主人公が求めるキリストの代わり、男の代わりが何なのかというと、、、。
なんともあけすけで品があるとは言えない映画だが、修道院という閉じ込められた場所で生きるとはこういうこと(信じるものをもつこと)なのかもしれない。
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