劇場公開日 2022年8月12日

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「一番身近な《他人》のことがわからなくなったら観るべき良作」ストーリー・オブ・マイ・ワイフ BONNAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5一番身近な《他人》のことがわからなくなったら観るべき良作

2022年8月23日
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鑑賞方法:映画館

耐久169分という社畜と奥様と受験生を始め全人類泣かせの上映時間の長さでありながら、最後の最後まで飽きさせない展開。素晴らしい。全体的に場面を長尺で撮ることがなく(夫婦の仲良シーンだけは長かったが)、テンポ良く場面場面が切り替わっていくため、悪く言えば軽すぎるが良く言えば一場面に足を取られることもないため、非常に観やすい。この辺、最近の時間ばかりが長い中身の薄い以下省略。
ざっくり言うと堅実派の仕事人夫vs奔放かつ享楽主義妻の話。なおこの2人は恋愛結婚ではなく、主人公夫が「なんか次に店に入ってきた女子と結婚するわフフフフーン」とか言ってマジでその言葉を完遂させた結果による。来たのがレアセドゥだったので結婚したけど、実際温水洋一氏みたいなご尊顔の女子なら絶対考え直したやろ自分と全力でツッコミ入れるのがこの映画の冒頭部分です。温水洋一氏に失礼。
なおこのレアセドゥですが、深掘りするとネタバレになるので控えますが、最初っから謎の女でしかないです。素性もわからなければ本人も話す気がさらさらない。唯一わかることといえば、よく言われるテンプレフランス人女性というところでしょうか。これ本当全部が全部こういうタイプじゃないと思うんすけど。どうなんよ。
一方の主人公夫。田舎の出で社交界とか全く知らん現場一筋の船長ですね。しょっちゅうリバースしてますけど、腕と勘は確かみたいです。なお船の操縦はうまいですが、能力は仕事部分に全振りしてるようですね。詳しくは言うまい。
この2人の腹の底の攻防戦と言いますが、夫婦なのに激熱な心理戦が繰り広げられるのですが、セリフではなくちょっとした描写やBGMで代弁させているのがホント、ハイセンスです。私、滅多に映画にセンスを求めない奴ですが、この映画に関してはストーリーからカメラワーク、キャスティングから描写の運びまで全てがセンスの塊と言うしかないです。絶賛です。
一番身近な他人に対して、一体何を信じれば良いのか。そんなことがわからなくなったら見返しておきたい良作。
レアセドゥの代表作と言っても過言ではないかと思われます。

BONNA