アネットのレビュー・感想・評価
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話はベタだったけど、曲とパペットが─
かなり斬新で、正直、笑えました。とはいえ、そう思うまでには、少し時間を要して、最初かなりの取っつきにくさ・・・。アネット登場でその様相はがらりと変わった気がします。なんじゃこのヘンテコなミュージカルチックな作品は─なんて思っていたんですが、ミュージカルを利用しつつもその違和感を大いに利用したり、それでいてかなり大真面目な壮大なミュージカル映画で、違和感きわまりないアネットさえも絵の中に見事に融合して、すっかり美しい映像に魅了されてしまった感じです。楽曲も素晴らしかったように思います。
でもやはり、アネットの存在そのものでかなり魅了され、うならされます。あれを拒絶するというなら、この作品は見ない方がいいと思ったり─。
悪くはないが良くもない。カラックスは致命的にミュージカルが合わない...
悪くはないが良くもない。カラックスは致命的にミュージカルが合わないのではないか。彼にしか撮れないキラーカットが少ないのは歌に拍子を合わせないといけないから。まーやはり世界最高級「汚れた血」とどうしても比較してしまう・・・。
回転灯籠
ベルリオーズのような
人類史上最凶のミュージカル
「ウエスト・サイド・ストーリー」よりやや上手!
アダム・ドライバー、かっこいいのに嫌な男だなあ。『ハウス・オブ・グッチ』でも嫌な男やってたなあ。家父長制の権化みたいな役を今後やっていくのか…。でも、素晴らしいキャリアの重ね方だと思う。
絶対だめですけど、今作をファスト映画で5分にまとめるなら、申し訳ないけどオープニングの5分をそのまま使ってほしい。とにかく何かが起こる予感に満ち溢れるオープニングシークエンス。音楽も良い。『ラ・ラ・ランド』くらい良かった。
ところどころの繋ぎが意味が分からないんだけど、だからこそ物語の牽引力がすごい。唐突にいろいろと起こっていく。なぜアネットに人気が出てるのかもよくわからない。そもそも人形なのもよく分からない。ラストシーンで人形を超える結末があって…とはいえ、出産シーンの独特の気持ち悪さといいもうね。癖がすごいんじゃ…。
とはいえ、スタンドアップコメディーの内容が日本人だからか面白くなかったのが致命的。ジョーカーの方がその点では笑えたかな。あえてかもしれないけど。
波のシーンも自宅の水を使ったシーンも印象的だった。
「愛が、たぎる。」良いキャッチコピーですね。
レオス・カラックス監督のミュージカル
角川シネマ有楽町にて鑑賞。
レオス・カラックス監督にしては「ミニシアター感」が消えて、「大ハリウッド的な雰囲気」を感じるロサンゼルスを舞台にしたミュージカル大作。
フランス語はカラックス監督がスタッフと話す程度で殆ど皆無。全編にわたって英語のミュージカルとなっている。
カラックス監督作品は全て観ているが、やはりジュリエット・ビノシュと作り上げた初期作品を超える映画は難しいか……。
物語は、カラックス監督作にしては分かり易く、ピン芸人(アダム・ドライバー)が人気オペラ女性歌手(マリオン・コティヤール)と恋に落ちて、赤ん坊が生まれる。この赤ん坊がアネット。
そして、いろんな出来事が起こるが、物語はカラックス監督作とは思えないほど「スッ…」と入ってくる。
だが、これが面白いかと言うのは、話が別。
個人的には合わなかった。
何が面白くなかったのかは、日本公開されたばかりなので詳細記載するのは割愛するが、あの『汚れた血』で「ジュリエット・ビノシュが両手をひろげて走るシーンを見て感動したようなところ」が本作には皆無。
アネットが、人形から人間になるのは表現上のどういう意図があったのかは不明。
エンドロール後に、大勢のキャストによって「この映画を面白いと思ったら、知人や他人にも勧めてね…」みたいな歌が歌われたが、個人的には「悪くはないがオススメは出来ない」気がした。
贖罪
すごく面白かった。グランドシネマサンシャインのBESTIAで鑑賞。音も良くスクリーンも大きく色彩も美しくて最高。ミニシアターでみるのとは印象が変わりそう。
オープニングから痺れる。
アダムドライバーの身体性が素晴らしい。
今まで傷つけてきた女性への恐れと贖罪かな。Me tooやキャンセルカルチャーを経て、昔を振り返ると後悔することもあるよね。自らの暴力性、嫉妬、恐れ。ラストのデュエットのアダムドライバーはカラックスに似せてるよね?
終映後の舞台挨拶でカラックスがドニラヴァンとアダムドライバーは少し猿に似ていて好きだと言っていて通訳が気を遣って訳していた。
カラックスは気難しいイメージだったけど、少しシャイではあるもののだいぶ丸くなってそうだった。撮りたいと思う人はなかなか見つからないらしい。マリオンコーティヤールはピンと来なかったけど実際会ってみたらよかったと言ってて、タイプじゃなさそうだもんねと思った。カラックスでも資金集めに8年かかるのか。カラックスがお〜いお茶飲んでいた。
子どもがマリオネットで驚いた。生まれたときから。なんとなく受け入れられるような流れや生身の子どもとの入れ替わりの演出も面白いなあと。
歌劇の中で織り成す、レオス・カラックス的カオス!
スパークスの楽曲を通過して今描かれるレオス・カラックス自身の半生に重なるもの
さぁ、映画が始まる。悔恨の念に囚われながら、ネタにするしかない孤独な生涯をそれでも生きる。オペラの象徴する死に魅せられたスタンダップコメディアンにとって、子供の誕生というライフイベントが象徴する生はあまりにリアルすぎて…誰も愛せない深淵。
原案・音楽スパークス × 監督レオス・カラックス(『ホーリー・モーターズ』) × 主演アダム・ドライバー = これは只者じゃないという期待に違わぬユニーク/クセモノな作品だった。抜きん出た才能たちによる化学反応が楽しくも、少し眠くもなった個性の塊。でも語弊を恐れずに言ってしまえば、本作も結局のところレオス・カラックス監督の作品でしかないのだ!そしてスパークスもそれを見込んで、他の誰でもないカラックス監督にこの企画を持ち込んだに違いない。
美しく大胆、そして曖昧。表現者アーティスト同士の夫婦は、格差やメディアに煽られ叩かれたりと何かと大変。子供ができてからは搾取するステージパパ毒親?そして、映画という本来皆に夢や希望を与えることができるはずのもので明るみになる暴力や強要にも触れる。他にもマリオン・コティヤール、サイモン・ヘルバーグと音楽的素地のある魅力的なキャスト。日本からは古舘寛治と水原希子が参戦。
映画は終わる。続けて音楽大好きエドガー・ライト監督による『スパークス・ブラザーズ』の日本公開も控えていて、やっとここ日本でも日の目の当たりそうなスパークス元年にようこそ。
P.S. レオス・カラックス監督登壇による舞台挨拶に行ってきた。今回の映画館サイドは完璧にやらかしていていたが、『汚れた血』『ポンヌフの恋人』と大好きな作品を生み出してくれた監督を生で見られてよかった。
♪So May We Start
実験的ミュージカルとファンタジー
簡単にあらすじを説明できる物語が単純明快で、断続的に切り替わる場面が忙しなく、スケールのデカい演出描写に驚きながらもレオス・カラックスの腕が鈍ったか、スパークスの音楽にハマれたらコレ幸い。
前作でも監督本人が序盤に登場する『ホーリー・モーターズ』にミュージカル場面があった記憶が薄らと、9年?振りになるレオス・カラックスの新作は何故にミュージカルであったのか、アダム・ドライバーとライアン・ゴズリングの歌声は同等に"ロック・オペラ"と銘打ったロックンロール色は希薄で、娘はピノキオの如く木製人形の違和感から生身になり、存在自体の違和感と理解困難でもある複雑性はレオス・カラックスらしい??
本作を集大成の位置づけにはせず、これを機に間隔を空けずに映画を撮ってくれたら、待望の新作になる本作では満足出来なかった。
140分の狂気
ファンなら身震いするね
待ちに待った新作はこうきたか!
カラックスファンなら身震いするね!
深呼吸して息を止めて鑑賞しよう。
作品数は少ないけれど、その分毎回驚かせてくれるカラックス。
まさかのロック・オペラと言うだけでも驚きなのに。
絵は申し分ないカラックスワールドの美しさ。
もしこれを舞台ミュージカルにするならばどんな舞台になるかと言う目線で考えながら観ていました。
最初アネットが人形とCGで出てきて、ためてためて、最後にリアルアネットが出てきた時、キター!と思いました。
指揮者のシーンも良かったなあ。
カラックスの映画は全作観てきたけれどかなりわかりやすいストーリーで、一般受けする気がしました。
裸芸人にもいろいろあるのですね。
小島よしおとかハリウッドザコシショウとかの日本の裸芸人とは違うタイプの芸人でした。
もう一度映画館で観て、DVDかブルーレイで家で飲みながら観たいね。
レオスならミュージカルもこうなるという真摯な映画
すげー楽しいということはない。なぜならレオスカラックスの映画だから。ミュージカル、豪華キャスト、愛、でなんとなくエンタメな匂いが出てるかもしれないけどフォーマットはそれなだけでレオスカラックスなのでした。生真面目な映画学校生がチャレンジしたような「ララランド」とかとは器が違うナチュラルボーン「壊れた愛の男」っぷり。アネットってくらいだからどんな娘かと思ったらそうきたか(笑)というグロテスクさ。全編何が起こるんだろうという不安感はずーっと続く。
本来的にはずっと歌がながれてるし、ストーリーは芸能ニュース風な差し込みむであるのでわかりやすいものなのに何故か淀みなくない、というか淀んでいるので映画監督の持つ体臭というのは凄いものだと思う。
ミュージカルのストーリーは比較的メロドラマなものが多いので簡単な共感を得やすいものだけど、まったく安易な映画に収まっておらず溢れちゃっていて、とっつきにくく、でも詩的であるという。好きか嫌いかでいったらもちろん好き。
しかしマリオンコティヤールの股の向こうに歌う古舘寛治さんを観る時代が来るとは思わなかった。そしてその隣にはアダムドライバーだもんな。
バイクは恋の初めにぴったり🏍️
嵐の中の船上ダンスは遠目には美しい。でも彼は酔っぱらい彼女は恐怖におののきながらいやいや踊らされている。スタンダップ・コメディは人を食ったような内容だし、ステージのたびに死んでブラボーの嵐を浴びる彼女。ヒロインを殺す人気オペラ、「カルメン」「蝶々夫人」「ラ・トラヴィアータ」。それら舞台の歌声は彼女の声ではないが彼女はディーバを演じる。
二人の関係の変化はパパラッチの興味本位の取材で初めてわかるがとても簡単、分かりやす過ぎた。この二人も操り人形なんだろうと思った。
心から二人は幸せだな、いいなと思ったのは、豪邸の近くの森の散歩。カシだかブナの木がギシッギシッと鳴る。ドイツの森の中みたいだ。爽やかな空気の中、自分が清められて森の一部になるような感覚だ。その森の一部に二人はなれなかった。アネットだけがピノッキオみたいに木製のような顔なのに二人は気づかない。
セックスもおしっこも出産も歌いながらはとても面白かった。でも心揺さぶられたのは歌でなくてオーケストラだった。アダム・ドライバーの演技から目が離せなかった。どんどん奥行きのある役者になってる気がした。でも脚本には軽さというか今更感を覚えた。
レオス・カラックス『ホーリー・モーターズ』以来、9年ぶりの新作
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