アネットのレビュー・感想・評価
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古舘寛治
ヘンなミュージカル!(褒め言葉)
2022年劇場鑑賞89本目。
変わったミュージカルということと、すぐ人を裏切る役といえばのアダム・ドライバー主演という事だけの情報で鑑賞。
冒頭から観客に死ねと言ってくるところにもう狂ってんなと思わせられます。直後にてんかん持ちを本当に殺しにかかる激しい光の点滅の後メタ表現あふれた歌が始まり、やっと物語は始まります。セリフとして喋るシーンは全編通してほぼなく、普通のセリフも全部歌なのと、前半意図的な似たシーンの繰り返し(ちょっとずつ話は進んでいる)で結構睡魔が襲ってきました。
気づいたら主要人物が退場していてセリフで何があったかは分かったのですが痛恨のミス。
しかしそんな眠気もふっとぶ奇跡か起こります。タイトルのアネットとは赤ちゃんの名前なのですが、この赤ちゃん、理由あってCGと人形を使って存在させられています。このCGと人形のクオリティがプレステ2並の出来で正直気色悪いです。しかし今までの演出を考えるとこれもわざとなのかもしれないです。
最初から最後まで既存のミュージカル映画とは一線を画した異色作なのでミュージカル好きは必見ではないでしょうか。
もっと没入できたら楽しかったと思えた
観といてネタにはなる作品
アメリカのスタンダップコメディ
【甘美な愛が、”成功格差”により崩壊して行く過程を描いた唯一無二の独創的な、ダークファンタジーミュージカル。幼きパペットの表情が切なくて・・。】
- 冒頭から、印象的である。キャリア半世紀の兄弟ロックバンド「スパークス」の演奏シーンから始まり、そのままコメディアンのヘンリー(アダム・ドライバー)と国際的オペラ歌手アン(マリオン・コティヤール)が、バイクと車で夜の街に走り去る。ついでに、観客には、"劇中は息をしないで"と告げられる・・。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・今作品は撮影現場で役者がライブで歌ったというだけあり、大スクリーンで観ると役柄の思いが深く伝わって来る様に感じた。台詞よりも歌の力だろうか・・。
ー ご存じの通りミュージカル映画では、先に音を収録し、演技を合わせるのが一般的である。-
・全編の台詞がほぼ歌であるが、曲調はロックだったり、ポップであったり、オペラであったり。
- 音楽担当の「スパークス」の力と役者の歌の力を感じる。アダム・ドライバーは「マリッジ・ストーリー」で美声を披露しているし、マリオン・コティヤールは「エディットピアフ 愛の讃歌」で歌の上手さはお墨付きである。(と、思い込んでいたらエディットピアフの音源を使用していたと分かった。けれど、マリオン・コティヤールは物凄いヴォイス・トレーニングをしたんだよね。役者魂を感じるよね。)
今作でも、アダム・ドライバーは天鵞絨のようなテノールを、マリオン・コティヤールはオペラシーンで、美しきソプラノを聞かせてくれる・・。-
・二人はベッドシーンでも、出産シーンでも歌い続ける。
- 凄いなあ。大変だっただろうなあ・・。ついでに産婦人科医は古舘寛治である。ビックリ!-
・ヘンリーのコメディアンとして、絶頂期の舞台での観客との韻を踏んだような、楽しき遣り取りも見事だし、マリオン・コティヤールに至ってはもう・・、ディーバである・・。
ー が、舞台での失敗、パワハラを告発されてヘンリーの人気は失墜、一方、アンは順調にキャリアを積むが、ヘンリーの嫉妬、疑念から二人の関係は悪化し、修復するために幼子と旅に出るが・・。-
・二人の子供のアネットがパペットである事も効果的である。
- 二人の愛が、崩壊し、嵐の海にアンが落ちた後、島に着いたアネットとヘンリー。月光に照らされたアネットが歌い出す幻想的なシーン。
そして、父ヘンリーが犯した二つの罪を、哀し気な表情で見ている。-
・アンを愛していたピアノ伴奏者で、その後指揮者になった男(サイモン・ヘルバーグ)は彼女の死に疑念を抱き、ヘンリーの家を訪れるが・・。
ー ヘンリーの常軌は逸脱していた・・。-
<光が当たると、歌い出すベイビー・アネットのラストショーのシーンで、ベイビー・アネットが涙を流しながら大観衆の前で言った言葉。
そして、獄に繋がれたヘンリーを訪れた成長したアネットは、もはやパペットではなく冷たき言葉を父に言い、獄を去る。
今作は、唯一無二の独創的な、ダークファンタジーミュージカルである。>
レオス・カラックスといえば、ノーヘルでバイク(憧れ)
鑑賞動機:地方でも中小規模公開作品の需要がないと思われたらますます観る機会がへるという危機感9割、ドライバーとコティヤール1割。
クセ強くて観る人を選びそうだけど、寡作の監督ならではの濃厚さに酔いました。
「スパークス、メイル兄弟」
アネットちゃんが可愛い!スパークス登場カッコいい!OK!
帰郷の道中、暇だなぁとなり、いつか観たなと思い出し、久々にレビュー。
最初に本映画とは全く関係ないのですが。
伏見ミリオン座様。「リコリスピザ」をかけてくださりありがとうございます。公開日に必ず行きます。
そして、その他「リコリスピザ」をかけなかった大劇場様。一生忘れないからな。w
さて、では「アネット」について。
この映画は、正直ネタバレもクソもないとは思うし、ネタバレと言われるであろう箇所をレビュー内で触れる必要があるかというとないと思うので、「ネタバレあり」にはしないで、多分ネタバレもそんなしない感じになるかなぁと思います。
と言いつつ、映画始まってすぐですが。これはYouTubeとか予告とかでも出てるからネタバレと言われたくないんですが、本作の監督であるレオス・カラックスが登場。どこかのレコーディング室で、後ろのソファにはレオスの娘さんがおり、レオスが娘を側に呼びレコーディングのスタートをかける。するとレコーディング室には本作の原案・音楽を担当するスパークスがおり、彼らの楽曲「So May We Start」の歌唱が始まると同時に、本作「アネット」がスタートする。
このメタ的オープニングは、近年観た映画の中では最高と言っていいほどの高揚感がありました。特に本作はミュージカル映画という事もあり、そもそも現実的なリアリティを考えて観ると違和感を持ってしまう人が多くなりがちなジャンルである所に、メタを入れて鼻から違和感を正当化して舞台建てをしてくるというのは、非常に効果的なものだなぁと感心させられました。
ただ、そういう所でいうと、そこからの本編というのはかなり普通に物語になってしまうので、個人的にはもっとぐちゃぐちゃにして違和感ユニバースを構築する方に振った方が映画体験としてはもっと楽しくなったのかなぁと感じました。
勿論、映像体験という点で言えば、ポスタービジュアルにもなってる荒波のシーンやつまらないアダムドライバーのコント舞台でのミュージカルシーンなど、良い所もあるにはあるんですが、全体として観た時はどうしても食い足りなさと単調さを、特に後半感じる作品になってしまったなぁという印象を受けました。
あと、本作は、冒頭にも出てくる娘さんに捧げられており、冒頭に監督が出ていることから察するに、監督自身の話という色が強いんだろうなぁと感じました。そのせいか、スパークスの音楽は勿論良かったのですけど、「ディスタウン」や「時は流れ、気分は変わる」などを聞いた時に感じた「こんな曲をつくる人たちから生まれる映画って、どんなエキセントリックな映画になるんだ!?」といったところへの回答を貰えるほどのものにはならなかったなぁという感想を持ちました。
寧ろ、そういうところでいくと、エドガー・ライト監督の「スパークスブラザーズ」の方がその回答は貰えそうな感じだったので、機会があれば、できれば見に行きたいですね。
なんか、いつにも増してフワフワした事しか言ってなくて申し訳ないですが、行って損はしない映画だとは思います。ミュージカル映画なんで、是非劇場で!これはそう!
共依存への優しい共感
男女や家族間の共依存で苦しんでいる人に懇切丁寧な共感をあの手この手で与えてくれます。
育児で家にずっといると、配偶者に殺意生まれがちなところわかってくれてうれしかった〜
偽物の愛ばかりの救い難い共依存状態、
そこからの小さな出口を教えてくれる映画です。
ではその出口を出たあと、どうすればいいのか?
自我を取り戻し自立し生きていくとはどういうことなのか。
こちらはスパークスブラザーズのドキュメンタリーで繰り返し描かれていきます。早起きと貯金とか。もっと根本的なこともたくさん。ぜひ2本立て続けに見ることをおすすめします。
サルの神様
バンド経験のある人ならばオープニングにドキドキするはず。特にエレキギターにケーブル差し込んだ時のノイズとか、アナログなエフェクター群、懐かしくてしょうがない♪まぁ、ここだけは息を止めて観ていても苦にならないかも・・・
プロットそのものは単純構造でしたけど、アネットが賞賛され、ステージで歌いまくるところはアル・パチーノ主演の映画『シモーヌ』(2002)を思い出しました。話は全然違うんだけど、人々の熱狂ぶりが似ていたような・・・もしくは初音ミクのステージとか。
結局のところ、スパークスの音楽が好きかどうかで評価が決まってしまいそうな映画でした。いきなりの#Me Too映像や日本人俳優(特に古舘寛治)の登場に驚いたりしたし、マリオン・コティヤールの大胆な演技など、面白いところはあった。ただ、ちょっと眠気が・・・
毒舌スタンダップ・コメディアンのヘンリー・マクヘンリー。観客も一体となって文句を言ったり、ヤジを飛ばしたりで、こんな芸風もあるんですね。好きじゃないけど。そんなアダム・ドライバーの怖さも発揮されたし、高身長のせいで後ろ姿がブルー・ザ・ブロディに見えたよ・・・
フランス語は全然知らないけど、アネットという名前が小さいアンとかって意味なのかな。まぁ、ヘンリー・マクヘンリーというのも変わった名前。ヘンリー家の息子ってところだろうか。
変わったミュージカル
映像体験が面白い
カラックス作品としては物足りない
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