劇場公開日 2022年4月1日

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「実に魅力的」アネット 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0実に魅力的

2022年4月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

元々スパークスの新作アルバム「アネット」の企画が、カラックスと出会い生まれた映画「アネット」。
このダークなロックオペラは実に魅力的でした。
それは冒頭のワンカットから溢れており、しかもロンとラッセルからそのスタートを切るんですね。あれはやられました。
カラックスの「ホーリーモーターズ」でもスパークスが流れてましたが、あそこら辺がこの出会いのきっかけだったのでしょうか。
物語はオペラ歌手とコメディアンという、相反するセレブから織りなすクラッシックな悲劇。
スパークスサウンドをバックに、アダムドライバーとマリオンコティヤールがとても瑞々しく絡み合うんです。
それとキービジュにもある、物語の起点となる嵐のクルーザー。
このシーンはスタジオ撮でしょうけど、この不自然な絵面が逆に良い。
舞台上の演出っぽく見えて、正にミュージカルやオペラのワンシーンのようでした。
そうしてアネットの自我が芽生える事で迎える、家族と愛の完全な崩壊。
ラストのまとめ方に、エンドロールも良かった。
それとアネット(子役)の歌がすごかったです。
もう一度劇場に行きたくなるような癖が強い作品、とても堪能できました。

白波