「【”私達はお隣さんだろ。何時か食事をしよう。”と民主家思想を持つ政治家は穏やかに彼を監視する私に言った。軍事政権下の韓国に置いて諜報員が自身に下された任務に疑念を抱き民主的思想を得る姿を描いた作品。】」偽りの隣人 ある諜報員の告白 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”私達はお隣さんだろ。何時か食事をしよう。”と民主家思想を持つ政治家は穏やかに彼を監視する私に言った。軍事政権下の韓国に置いて諜報員が自身に下された任務に疑念を抱き民主的思想を得る姿を描いた作品。】
ー 1980年代の激動する韓国の民主化闘争及び国家状態を描いた作品としては、光州事件を描いた傑作「タクシー運転手 約束は海を越えて」や「1987、ある闘いの真実」「国家が破産する日」や「工作 黒金星と呼ばれた男」「KCIA 南山の部長たち」など秀作揃いである。
これは、韓国近代史における民主化を求める民の声に対する武力国家が行った事に対する韓国映画人の”負の時代を闇に留めない!”と言う矜持を示していると思う。
今作も、その一作である。ー
◆感想
・1985年、軍事政権下の韓国。愛国心の強いデグォン(チョン・ウ)は、米国から帰宅しながらも、自宅軟禁された政治家・ウィシク(オ・ダルス)の家に盗聴器を仕掛け、24時間態勢で監視することに。
だが、家族を愛し、国民の平和と平等を願うウィシクの声を聞き続けるうちに、デグォンは上層部に疑問を持ち始める。
ー この、自宅軟禁された政治家・ウィシクはどうみても、金大中氏である。
当時の大統領はご存じの通り、朴大統領を暗殺した一派の全斗煥であり、彼が大統領になってから起こした民主化を求める若者達を虐殺したのが、金大中の基盤でもあった全羅道の主要都市である光州で起こした光州事件である。-
・デグォンが臨家に住む盗聴をするウィシクと銭湯で交わす会話が良い。二人揃って牛乳を飲んだ後に二人ともにお腹が緩いために、トイレに入って交わす会話。
ウィシク”こうやって、牛乳を飲むと、乳業農家が困らないだろう・・。”
・そして、徐々にデグォンが自らの軍事国家を維持する事に拘るキム室長(キム・ヒウォン)の姿勢に疑問を持って行く姿。
ー そして、彼はウィシクを殺害するための情報を察知し、彼を止めようとするが彼の犠牲になったのは、ウィシクの娘で有った・・。-
<今作は、民主国家を名乗りながら軍事国家であった韓国の体制に、コミカル要素を絡めつつ、強烈な怒りを込めた作品である。
日本は、戦後民主主義国家を列強から指示され、その路線を歩いて来た。
だが、安倍政権時から、その路線が、きな臭くなってきたのは周知の事実である。
今は時を待たないとはいけないと思うが(凶弾に斃れた方を鞭打つ気はない。)、何故にあのような事が起こってしまったのかを、キチンと掘り下げ真実を何時かは提示して欲しい。
「新聞記者」が大手シネコンで掛かった際の様な驚きと、邦画映画界の矜持を韓国同様に見せて欲しい。
その監督は、藤井道人監督か、大島新監督だと思うのである。>