ノイズのレビュー・感想・評価
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藤原竜也&松山ケンイチのもとでぶっちぎった神木隆之介の才能
「デスノート」で共演した藤原竜也と松山ケンイチの主演という触れ込みに始まり、見どころの多い作品だが、瞬きを忘れるほど際立っていたのは神木隆之介。
藤原と松山が巧いのは周知であるし、神木が巧いのも勿論把握している。
けれど、今回はいつも以上のパフォーマンスが発揮されている。
先輩2人のもとで、プレッシャーを分散された状態でフルに才能を発揮すると、こういうことになるんだと感じさせる芝居だった。
また、渡辺大知も秀逸。
元受刑者のサイコキラーを、サイコキラーに見せるように演じることは言葉にする以上に難解なはず。それをいとも容易く変貌してみせた渡辺の狂気をはらんだ眼差しも必見である。
そして、最後になるが余貴美子と柄本明。
控えめにいって最高。まさかあのシーンであんなに爆笑させられるとは思わなかった。
ぜひ、本編で確認してみてもらいたい。
「かさぶたになる」のも悪いことではないのだけれども…守屋巡査には心から同情。
場合によっては、正論を振り回すことが、必ずしも妥当・公正な結果につながらないということも、評論子は否定するものではありません。
しかし、本作の場合は、事故(評論子は、あえて「事故」と言います)発生の当初に真一郎(守屋巡査)が提案したとおりの出来事としてシナリオを作ってしまっておいたとしたら…本作の結末は、まったく違ったものになっていたことでしょう。
(もちろん、それでは、映画作品としては成り立っていなかったかも知れませんけれども・苦笑)。
「かさぶたに徹すること」が、必ずしも妥当・公正な結末に結びつくとは限らない―。
本作の場合、圭太や純の幼なじみでもあり、警察官としてもまだまだ若かった守屋巡査には、適切な判断と、圭太・純を適切に導くだけの行動は、おそらく難しかったことでしょう。
ちなみに、離島や山間僻地の駐在所には、定年間近な警察官が配置されることも少なくないとも聞き及びます。
それは、もちろん「お年寄り」には激務の第一線を退いてもらい、事件・事故の対応が少ない仕事(人はそれを「閑職」とも呼ぶ)に就いてもらうという意味合いもありますけれども。
しかし、そういう環境では、駐在員はたった一人で警察としての職務を執行しなければならない立場として、長い長い、長い在職中にいろいろな畑(部署)を歩いたことでの豊富な実務経験が求められるということの他、とかく閉鎖的になりがちな地域では、「飲み込んでも良いこと(飲み込んでしまうべきこと)」と「飲み込んでしまってはいけないこと(土地柄の困難を圧(お)してでも正規の手続きを行わなければならない場合)」との分別と、それを周囲に徹底させられるだけの行動が、ちゃんと出来る人でなければならないから―むしろ、こちらの方が、理由としては、大きいのではないかと、評論子は思います。
本作の出来事が起きた当時に、この島の駐在員が柄本明や、テレビドラマ「うちのホンカン」シリーズ(北海道放送(HBC)が制作し、TBS系「東芝日曜劇場」で1975年から1981年にかけて放送)を演じたような大滝秀治ばりの老練な警察官だったと、もし仮定したら…。
おそらく、本作の展開・結末も、また違ったものとなっていたことでしょう。
(それが、映画作品としては成り立つかどうかは、ここでは、ひとまず別論)
そのことについての、まだまだ人ととしても警察官としても若かった守屋巡査の慚愧(ざんき)というのか、後悔というのか、想い残しというのか…。
それを思いやると、評論子としては、本当に、心から、守屋巡査に同情を禁じ得ないところです。
ここで、評論子的にはようやっと本作のタイトルに関連するらしきことに触れることが出来るのですけれども。
上記のような立ち位置の守屋巡査にしてみれば、前任の(ベテラン?)駐在員のひとことを初め、外側(県警の介入)からだけでなく、内側(口さがない町長、過保護にも見えてしまう真一郎の母親)からもさまざまなノイズ(雑音)によって判断が揺さぶられたことでしょうし、自らを取り巻くさまざまなノイズ(不協和音)が大きな精神的ストレス、ダメージの原因となっていたことに、疑いもありません。
まぁ、本作を指して「新感覚サスペンス」と評するかどうかは、さて措くとしても。
少なくとも上記のような「思い」を自らの若さを以て見事に好演した神木隆之介の演技を買って、評論子的には「本作は、それなりの佳作」と、ひとまずは評しておきたいと思います。
否、評論子的には、むしろ、守屋巡査の葛藤(神木隆之介の演技)あっての本作だったようにも、思います。
(追記)
もちろん、製作側は、そこまでは意図していなかったことでしょうけれども。
まだまだ若い(警察官としては経験の浅い)守屋巡査をこの島の駐在員にしたのは、評論子は、(いくら本人が熱望したとは言え?)愛知県警の人選のミス、思慮不足であり、実は、この一連の事件の遠因でもあったと思われてなりません。
(追記)
猪狩町役場からの「お知らせ放送」のイントロが、どうして「田園交響曲」なのでしょうか。
(犯罪など起きたことがないという平和な町の象徴?)
しかしながら、毎度まいど聞かされる町民には、立派な「ノイズ」だったんじゃあないかと思ったのは、果たして評論子だけだったでしょうか。
(追記)
まちの再生を賭けた物語としての構成上、舞台はどうしても田舎に設定せざるを得なかったのでしょうけれども。
田舎なんて、こんなふうに「何でもアリなのかなぁ」という誤解・偏見が本作で引き起こされたり、増幅されたりすることがないように思っているのも、独り評論子だけではないと信じたいところです。
それぞれのノイズを排除する
アイネクライネナハトムジーク
島内放送に流れるアイネクライネナハトムジークが島を表す曲とするなら、島外のよそ者はノイズとなる。
ノイズから島を守るという部落意識から、殺人さえも正当化してしまう。
ややストーリーは単調な流れだが、演技派の役者さんが隅々まで揃っていて引き込まれました。
シリアスな映画のはずなのに、余貴美子さんと柄本明さんの絡みはコントがかっていました。
渡辺大知さんは、誰だか分からない程にサイコパス役にしっくりはまっていました。
嘘に
嘘を重ねると 思わぬ事態を引き起こす、気付いているのに 気づかないフリを続けると、ときに人を傷つけ続けてしまう。ずっと支えてくれてる純に、何の感謝もなく、さらっととどめを刺す加奈もひどい。圭太がそこまで島に恩を感じる根拠ももう少し知りたかった。無花果に関わっているのは圭太だけではないのに。ノイズ、聞きたくない雑音、それは純にとっての島での全て、だったのか?ノイズ、始終なぜだかイライラした。
ともあれ、真実にはきちんと向き合い、ツラくとも対処せねば、と思った。
逃げ場のない島での冒頭シーンは不気味で怖かった。非常事態に次々と案が浮かぶ市長には感心、たしかに女上司から男部下へのパワハラもあるよね。権力者ほど人格者であってほしい。
純は無事かな?害獣駆除も充分みなの役に立ってるよ、島を出てどうか幸せになって。
演技はいいんだけどね
微妙にもほどがある。つまらなさすぎて眠気との戦い。
豪華キャスト
オールキャスト
オールキャストでこの作品に挑んでいる。
物語の流れには違和感は、ない。
島というそこに暮らす人々特有のものの考え方に焦点が当てられている。
そこに来てしまった「要因」と、主人公らの思い込みによって「事故」は起きた。
そしてその処理方法もまた特徴的だが、そこに新人警官が絡むことでより一層問題が複雑化してしまう。
ある種のドタバタ劇のように事故が事件へと雪だるま式に膨れ上がってしまう。
この作品のタイトルノイズについて、町長は「島を乱すノイズを排除しなければ」というが、これは島で起きた不要な出来事という意味だろう。
それを象徴するかのように要所要所の場面で不適切なモーツァルトの曲が流れている。
町長はジュンに対してとても不快な言葉を遣う。「あなたが全部やったことにすればいいのよ。そうすればこの島は守られるわ」
この瞬間、ジュンの心は大きく揺れ動いた。その後続く葬儀で、皆ケイタを持ち上げている。この時ジュンは一人寂しく縁側で酒を飲んでいた。
カナはそれに気づき、ケイタばかりが持ち上げられていることに気味悪さを覚える。
この時これが大きな伏線であり、描かれないジュンの心の闇を平行線としていることがわかる。
「島を守るため」 これが主人公ら島民のすべての認識であり、彼らの動機だ。
永瀬刑事らが一番うざいと感じていることだ。
やがて嘘をついていることに我慢できなくなったシンイチロウ警官が自殺する。
彼は全部自分一人でやったことにしたが、永瀬刑事にはそれが嘘だとわかっていた。
そこに島民すべてに対して一斉メールが届く。死んだ町長のケータイからだ。
「犯人は泉圭太」
島に現れた「要因」の死体発見で、すべてはケイタがやったことに変わる。
シンイチロウの墓の前で鉢合わせた刑事とジュン。
刑事はそれでも納得はしていない。「お前はそれでも幸せか?」
刑事に謎の言葉に反応するジュン。
そして大どんでん返しだ。
個人的には、この作品においてジュンの回想だけでジュンの気持ちは十分わかると思う。刑事が余計なことを言いすぎている感がした。それにジュンがカナの写真をサイコパスやストーカーのように壁一面に貼っておく必要はないだろう。
カナがケイタの帰りを待って二人が抱き合うシーンがあるが、助手席のジュンは降りてこない。それで十分伝わる。履歴書の工作を回想するシーンも不要だと思った。
その反面、冒頭の女児のナレーションを最後に持ってきて、女児が「みんなで一緒に」と言っているのは、家族ではなく母とジュンと一緒という意味をオブラートしている。
ケイタは面会でカナからジュンとのことを聞かされたのだろう。
ジュンがしたことは二人は知らない。この辺も分かりにくくなっている。
ジュンの回想と最後の面会ではわかりやすさが違いすぎている。
最後に狩猟するジュンの姿があるが、それは単純に狩猟だが、その獲物は間違いなく「ケイタ」だと思う。
島に来た「要因」の扱いと、それを導いてしまった保護官が少し軽すぎたかな。
それでも全体に面白く良くできている。
☆☆☆ 原作コミック未読 ノベライズ版読了済み ほんの少しだけ 最...
☆☆☆
原作コミック未読
ノベライズ版読了済み
ほんの少しだけ
最後のエンディングで、監督がここ数年低レベルな作品を連発している廣木隆一であったのを知る。
ノベライズ版を読んでいたので、ラストの数行でそれまでの全てが二転三転ひっくり返る驚きを期待していたら、、、
…あらららら!
何でその役を永瀬に振ってしまったのよ!
せっかく、〝 黒木華ここにあり 〟と言える超絶ホラーエンディングを期待していたのに。
(ㆀ˘・з・˘)何だよなあ〜もう。
あれじゃあ、極々普通のサスペンス映画になっちゃったじゃあないのよ。
途中まではまあまあ(面白いとは言ってない)だっただけになあ〜…と。
せっかくの黒木華の良さが出せず、永瀬の切れ者キャラ設定も活かせずで、ちょっと残念でした。
2022年1月28日 TOHOシネマズ錦糸町楽天地/スクリーン12
役者揃い
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