「もうちょっとコメディ寄りにしてくれればサイコー」ノイズ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
もうちょっとコメディ寄りにしてくれればサイコー
先に『前科者』を観て置いた方が良かったかな~と思いつつ、保護司の諏訪太郎さんが真っ先に殺されちゃいます。保護司はね、みんなボランティアでやってるんですよ。あまりにも酷い話、ショッキングでした・・・(ドラマ版「前科者」は視聴済み)。
俳優陣の名演技と、かなりしっかりしたストーリー展開というのが第一印象。脚本がブログ友達migさんの弟さんじゃないですか!映画で観るのは『町田くんの世界』以来です。原作漫画は知らないので特にストーリーを中心に注目したのですが、やはり演技に押されて脚本までわからなかった(汗)
過疎化、高齢化、閉鎖的・・・若者が本土に行ってしまい、いずみ農園の黒イチジクが猪狩島復興のメインとなっていた。未来は明るい。町内放送だって「田園」とかかかってるし、平和そのもの。しかし、ノイズとなる元サイコキラーが就職先を求めて来島。保護司が行方不明になったことと、殺人が発覚したことで本土から大挙して警察がやってくる。マークXに乗っている刑事の畠山(永瀬正敏)と青木(伊藤歩)がエラそうで嫌い!お前こそノイズだ!と、島民はみんな思ってるはず。なんだよ、「へ」ナンバーの車なんて無いぞ!もう一台の覆面パトカーは「わ」ナンバーだからレンタカーだし・・・と、つまらないところまでチェック済み。
特別交付金5億円の支給内定に浮かれているパワハラ町長(余貴美子)やその部下。さらに柄本明演ずる老人など、個性豊かだが裏では何を考えてるかわからない設定が秀逸。基本的には島民一丸となって島を盛り上げたいのだ。各々除去したいノイズはあるのだろうけど、口には出さない。そんなとき、新米駐在員の守屋真一郎(神木隆之介)が“かさぶた”となることで覆い隠そうとするのだった。
黒イチジクという特産品も意味深だ。欲望の象徴ともされ、実は不毛、枯れた木は死を意味するといった解釈がキリスト教にあったりする。畠山やアナウンサーが「気味悪い、グロテスク」といった台詞を口にするのも、過疎化や辺鄙な島を意図したものだろう。圭太の娘が描いた“ひまわり”とは対照的だ。また、育て方として、“剪定”が重要だったりするので、これもノイズを除去することに通ずるし、“定植”も必要だったりするのは圭太の妻(黒木華)の言う本土への引っ越しに通ずるものがあった。う~む、案外深い。
もう、裏切り者は誰だとか、どうでも良くなってくる小規模などんでん返し。この終盤はインパクトに欠けるし、もっと大袈裟に表現しても良かった気がする。普通に考えても、正当防衛や過剰防衛の過失致死罪、それに死体遺棄罪だけ。刑期だって短そうだ。しかし、娘の描いた絵に家族が4人いたことがショッキング。かまってやれなかったと嘆くシーンには、純(松山ケンイチ)の姿も浮かんだに違いない。圭太は純によってまんまとノイズとして除去されてしまったのですね。
コーエン作品のようにもうちょっとブラックコメディとして描くとか、笑いを取れるシーンがあれば良かったとも思う。笑えるのが余貴美子だけだったからなぁ。圭太が「計画通り」とか、純が「私は・・・間違ってなかった」とか、新世界の神にならなくてもいいから『デスノート』ネタを入れてみたり・・・そう色々想像してみると、やっぱり映画って面白っ!!
kossyさん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
「 特に覆面パトカー のナンバー 」…うーむ、確かに!
「 結構ナンバーを変えてる 」← 興味深いです〜 👀
kossyさん
「 へ 」ナンバー.、黒イチジク … 勉強になりました!
「 お約束 」の藤原竜也さんの懇願顔、そして藤原竜也さん・松山ケンイチさん・神木隆之介さんのやり取りにハラハラしながらも何故か笑いが…。劇場で観ていたら、周囲に迷惑がられていたかも知れませんね。
シリアスなのに面白く鑑賞出来た不思議と可笑しみのある作品でした(笑)
いいね!ありがとうございました。
kossyさんは本当に映画のシーンを細かくご覧で記憶してらっしゃるのですね。
博識にも驚きます。
車のナンバーや、イチジクの聖書からの引用などなど。
そして衝撃だったのは圭太の娘の絵です。
4人家族でしたか?
言い訳なんですが、この映画、1か月前に観てました。
レビューを載せようとすると“使えない字があります“って表示されて、
3回書き直して、今日もトライして、はねられて、ハッとイケナイ言葉に辿り着きました。
と言う訳です。
4人家族には純が入ってたんですね。
それにしても松山ケンイチの純。
親友を売りますかねー。
闇が深いです。だからと言って黒木華に接近する勇気はない・・・としたら、嫉妬とはアナ恐ろし・・・ですね。
(長々とお邪魔いたしました)
永瀬正敏刑事が本当のキレ者だったら、松山ケンイチ宅へ家宅捜査とかするんじゃないか(合法非合法問わず)とか色々と想像しちゃいます。
あれこれ想像させる映画という意味では良い映画なのかもしれませんね。