「イッセー尾形の真骨頂」ONODA 一万夜を越えて bionさんの映画レビュー(感想・評価)
イッセー尾形の真骨頂
イッセー尾形が破壊工作員を養成する中野学校の教官を演じるんだけど、役どころがピッタリ。顔に現れる表情がコントロールされていて、小野田をはじめとする訓練を受けている生徒たちは教官の本心がわからないため気が抜けない。生徒たちの歌っている歌を訓練の教材にしてしまうシーンは、イッセー尾形の真骨頂。
年をとった小野田さん演じる津田寛治、小野田さんを探し出した鈴木青年を演じる仲野太賀、元上官のイッセー尾形。この黄金トライアングルによるラストは圧巻だった。
残念なのは若い頃の小野田さんを演じた遠藤雄弥の力量不足。棒読み感があるセリフ回しは、演技力ある周りの俳優から浮いてしまっていて、ストーリーに集中できなかった。
3時間近くの時間を感じさせない中身の濃い物語になっていたのは間違いないが、小野田さんにシンパシーを感じることはなかった。島民にとって畑を荒らしたり、危害を加えるような日本兵の残党は、厄災でしかない。やはり戦争というのは誰にとっても不幸だ。
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