「主演二人の素晴らしさ」梅切らぬバカ 安芸あおいさんの映画レビュー(感想・評価)
主演二人の素晴らしさ
正直、設定と物語にいまいち現実味がないかな~、という点が残念でした。職場への通り道にあんなに都合よく乗馬場があるものだろうか、とか、貧しい生活を強調したいのであろうが、一方では緑に囲まれたセンスのいいお庭のある都内の昭和の古民家(ああいう家が好きな人は金出してでも住みたい超魅力的な物件に思える)に、母子二人、しかも母親は占い師、とか、障碍者施設の前で障碍者本人達の目の前で拡声器でヘイトしてる、わかりやすい悪党役の市民団体だとか。現実味のないファンタジーも入ってる正直安っぽい設定に白けた部分もありましたが、それを凌駕するのはやはり主役親子の役者さん達の素晴らしさでしょうか。矍鑠として、凛とした、どこか少年のシルエットさえも思わせる加賀まりこさんと、自閉症を持ちつつも優しい純粋な心を持つ中年の息子をしっかり演じた塚地さん、この二人の並んだ姿はまさにお粗末なファンタジー設定をも吹っ飛ばす現実的な親子の存在感がありました。苦しみを抱えつつも、二人で人生を添い遂げよう、と親子が決意して抱き合うシーンは涙無しには見れませんでした。お二人の役者人生に幸あれ!
コメントする