「裏切らぬムガ」梅切らぬバカ サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
裏切らぬムガ
予告を見て面白そうだったので鑑賞。
加賀まりこと塚地武雅が親子で心温まるストーリーなんて言われたら見ないわけないでしょう。
宣伝通り、心が温まる映画でした。
77分と実写邦画映画にしてはかなり珍しい短尺映画なのにも関わらず、まとめ方が上手くて十分に楽しめました。
自閉症の息子・忠さん(塚地武雅)と共に暮らし占い業を営む珠子(加賀まりこ)は、自分がいなくなった時のことを考え忠さんを知的障害者が共同生活を送るグループホームに入居させることにした。
加賀まりこも塚地武雅も最高。
少しおっちょこちょいだけど優しくて人を惹きつける珠子が超ハマり役。加賀まりこは若々しさがまだどこか残っているような気がする。
塚地武雅は本当に凄いな。芸人が本業だとは思えないほどの演技力。話し方とか仕草とか全くもって違和感がない。そんな2人の噛み合いも面白くて、やっぱり癒された。
短い尺が幸をそうしたのか、とても見やすかった。
構成だとか演出だとかテンポだとかが意識されていて、77分間集中が途切れることなく見れた。登場人物の個性と成長が丁寧に描かれていて、雑さが見られないのがシンプルに凄いなと感じた。
颯太くんが感じることがグッとくる。
子供がわかっていることを大人はわかっていない、わかろうとしない。自分勝手に自分の正しさを押し付け、自分が良ければそれでいい。グループホームで珠子さんが言ったことを何も聞いてなかったのか?と思う発言をした馬小屋の女性には驚いた。でも、世の中の大人ってこんな人ばかり。ひとつがダメなら全てダメですか?
ただ、映画としては欠陥あり。
尺の短さはいいとして、わざわざ映画館で見るような作品ではないなと。何も起こらずボリュームも無いし、テレビドラマでしか無かった。それで終わり?ってとこで終わるし、なんだか不完全燃焼。いいテーマだからもっと上手くできたと思うんだけどなぁ。
とまぁ、気になるところはあったけどなかなか面白い映画でした。やっぱり、家族の映画って心温まっていいですね。珠子さんの温かさと忠さんの心優しさに大満足!