「拭い去れないラノベ感覚が、むしろ良い感じ。」スパゲティコード・ラブ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
拭い去れないラノベ感覚が、むしろ良い感じ。
しつこく深掘りしないオムニバスな骨格。これが良い感じの不描写になってて。しかも、各レーンに、どれも異なる切なさがあって。
これは面白かったです。見終わったから製作陣を眺めると、知らない名前が並んで居る中て、撮影が「ティファの手紙」「ラストレター」の神戸千木さん。脚本は「五億円の人生」の蛭田直美さんと、要所は手堅く押さえてある訳だ。と言うか、個人的には好きな人で固められてたw
恋愛なんて他人から見ればスパゲティコードな訳ですよ、確かに。
言うほどには、もつれてなかったけど。
令和の東京を無機質・冷淡に捉えるところから始まる物語り。「自嘲」と「諦観」と「もがき」。オムニバス的に、交わりを持たない登場人物達のストーリーを並行で、起承転結をハッキリさせ、同期させながら進めて行きます。この進行と時間配分が、結構好き。
世の中、そんなに悪く無いし、恋愛は絶望を残すだけじゃ無い。希望もあるで。って言う映画。
「がんばれ」とは言わないし、奇跡も起きない。他人から見れば、ほんの小さな変化が、二人にとっては人生を変えるほどの変化になっていたりする。と言う落とし方、と言うか、力の抜き方が今っぽくて好き。
女性脚本家らしい台詞回しが、割と小気味良くて飽きないし、リアリティもちゃんと感じられるエピソードも良いです。ただし、理系はもっとメンドクサイこと言うと思いますし、「音」の発生と伝搬についての説明が、中学生レベルってのは軽く1アウトですよw
倒れる木が引き起こす振動は、基本どこまでも伝わります。距離に比例し小さくなって行く振動は、それがあまりにも小さく、だれにもに気付かれないだけ。それを「存在しないのと同じ」と言うなら、認知範囲の外側には何も存在しないと言ってる様なもの。
離れていても。近くにいても。壁の向こうであっても。
音に気づいてくれる人がいると言う幸せ。
音に気づいてあげること。
それ、「愛」じゃないですか?
みたいな。
各々のエピソードが単体のショート・フィルムだとツマラナイかもしれないけど、これだけを束ねると、結構染みます。なんでなんっすか?
束ねること自体が、反則技かもしれませんけど。
良かった。結構。
あーーー、でも。
No Planの中学生(?)にはお説教が要る。一晩かけて、色々とw