「要約するとリア充ベテラン集団がぽっと出ハイスペック俺強ぇ勘違い童貞に喧嘩売られてボコボコに返り討ちにする話」機動戦士ガンダムSEED FREEDOM Yos007さんの映画レビュー(感想・評価)
要約するとリア充ベテラン集団がぽっと出ハイスペック俺強ぇ勘違い童貞に喧嘩売られてボコボコに返り討ちにする話
先ずは不満点
ガンダムシリーズって、主人公サイドもその敵にも戦う大義があって、そのどちらにも納得出来る所があって…って所が視聴者の心を引き付ける部分ですよね?
今回の敵はその点全く心動かない。ラスボスが「コーディネーターを超える存在のアコード」加えてその特殊能力の精神感応と、前作でラクス本人からも全否定された筈の使い古された「ディスティニープラン」の二点でラクスを奪おうとし、上手くいかないと簡単にヒスを起こし強硬手段に打って出るなんて、ガンダムシリーズのラスボスとして薄っぺらすぎる。で、そんな敵なら倒した時はさぞ爽快だろうと思いきや、そんな男でも陰ながら密かに慕っている女性を何も報いる事無く道連れにした事で爽快感も半減…
ガンダムシリーズって、主人公の成長も見所ですよね?
DESTYNYで見せた達観したキラはどこ行った?1st主人公のアムロはZまでは軟禁状態で腐っていたものの、一旦立ち上がればカミーユ・クワトロコンビが手を焼いていたブランをたかが輸送機で撤退に追い込み、その後も鬱屈を抱えながらも頼れる前作主人公としてカミーユを導きクワトロを叱咤し、逆シャアでは主人公として返り咲き味方である筈の地球連邦軍に足を引っ張られながらも人の叡智と可能性を信じて戦い抜いたのに(1stから14年)、キラと来たらたった5年かそこらで現状に疲れ果て、その弱った所に付け込まれアコードの精神感応でいい様に操られたまでは仕方ないとしても、その精神感応の可能性や自分の失態をまるっと忘れて「ラクスは僕たちを裏切った」とヒスを起こした挙句、思い違いをアスランからガンダムシリーズ名物「修正」を受けながら「君たちが弱いから」等など信じてついて来た大事な仲間達への失言の嵐…これがSEED中盤時代なら孤軍奮闘で葛藤の真っ只中のキラに同情も出来たが、SEED及びDESTYNY各終盤で見せていた成長や覚悟を見た後にこれだと…退化・退行のいい見本。
ガンダムシリーズって、「モビルスーツの性能の違いが戦力の決定的差ではない」世界観でしたよね?
アムロは卓越した技術と経験で、カミーユ・ジュドーは計り知れないニュータイプとしての能力と死んでいった人々の思いで、ウッソは柔軟なアイデアで、TV版のキラもスーパーコーディネーターの力と未来をつかみ取りたい思いで各々最終決戦を戦い勝利を得ました。
今作のキラは、アスランは…なんかモビルスーツの性能ゴリ押し感が拭えません。キラはマイティーストライクになった途端ほぼ棒立ちで2種の大砲で戦局を覆し、最後にラスボスに切りかかって終わり、アスランも最後は初見殺しの隠し武装じみた一太刀で終了。パイロットの技術も工夫も見られず、かろうじて思いが乗ってたかな位の感想しかありませんでした。
ここら辺は一回観ただけでは理解できない部分や見落としがあるのかも知れませんが。
以下はそれでもよかった所
ガンダムシリーズって、世界観しっかりしてるのも魅力ですよね?
なんかC.E.世界なのにニュータイプ紛れてるんですけど…ニタ光出てるんですけど…
キャバリアー?名前はともかく見た目まで「ドラグナー」なんですけど…
でもお遊びとしては見てて楽しかったかなと…
シン・アスカって、TVでは可愛げなかったですよね?
今回はシンがカッコ可愛い。ちょっとギャグキャラ寄りで、その点他のレビューで叩かれたりしていますが、自分がキラならこんな後輩いたら毎日でも飯食いに誘う。前線を任せてもらえなくても以前の様にただ不満をため込んで周りに当たり散らすのではなく、自分の力量不足かと悩み、TVとは違った可愛い拗ね方をしてるし、前述の修正シーンでも明らかにキラに非が有るにも拘らずキラを庇ってアスランに食って掛かるし、(結果どさくさ紛れでキラからも殴られてたり…)こんななつかれ方したらラクスほっぽり出してシンとばっかり遊んでしまうかも…
で、戦闘でも頼れる頼れる。キラvsラスボス、アスランvs敵のNo.2、ルナマリアvs裏切り者で、他のネームドパイロット全て引き受けてそれでも無双状態。まさに「キラさんの邪魔をするなーーー!!」って感じの大活躍。戦闘での爽快感はこちらにあった。疑問なのはアコードの精神感応が効かなくなったのは種割れが理由なのかシンのギャグキャラ部分含めた特性なのか…ただ一つシンのパートで許せないのはあんなに綺麗な思い出だったステラを、たとえシンが見ていないとは言え化け物扱いした事。だからシンの存在だけで☆を増やしたかったのだけど、増やすに増やせないわだかまりが…
アスランって、いつも迷いながらキラに導かれる存在でしたよね?
今回逆です。キラが迷いアスランが導き、露払いもしてくれます。とても頼れる親友です。かつてシリーズ原作者の富野監督が「迷いを吹っ切ったシャアはアムロなんか瞬殺だ」って発言をしていましたが、迷いが無い今作のアスランは今作のキラを瞬殺できそうです。それだけに先述のキラの「君たちが弱いから」発言に余計にイラつきます。でもメイリンと行動を共にしながら、カガリともイチャついているのは「リア充爆発しろ」です。
他にもSEEDシリーズ初期はキラ視点でもアスラン視点でも鬱陶しかったイザークが一軍の将として、DESTYNY時代より更に頼れる漢になっていたり、相変わらずここぞという時に頼れるムゥさんだったり、ジャストタイミングで流れる「Meteor -ミーティア-」だったりと、見所は随所にあったはずなのですが、いかんせんキラの不甲斐なさと、敵の薄っぺらさが全てを台無しにしている作品だったかなと。シンのファンにはぜひ見て下さいと言えるんですが…。アスランファンには「見所有るけど出番少ないよ」