「おもしろラブコメOVA」機動戦士ガンダムSEED FREEDOM まつさんの映画レビュー(感想・評価)
おもしろラブコメOVA
続編と聞いて、前情報を何も仕入れずに種と種死100話を再履修していざ観に行った結果、悲しい気持ちになり帰ってきました。
冒頭いきなりベタすぎるラブコメカット連発、超能力みたいな力を使う新人類登場、種死であれだけ凛々しく成長したキラがウジウジしたりラクスも覇気がなくなり随分簡単に動揺するようになっていたりしてキャラクターの一貫性もなく、作画もなんだか不安定、軽率に核ミサイルを発射する展開にし地球が焼け野原となり軽率にレクイエムも連射でユーラシア連邦首都が消滅(これでまた終わらない大戦が起きそうだけどなぜか首謀者を倒したら収まるらしい)、あれだけ歴戦をくぐり抜けたアークエンジェルが雑に轟沈、続編とは思えない部分を挙げればキリがないです。今作からの要素のアコードとかいう新種の超能力についてSF的な説明はほぼ何もなく謎の能力のまま、前半でキラを操ったり思考を読んで圧倒的な強さだったのに最終戦ではなぜか操れず、思考も読めずと非合理的な負け方をしているのも気になります。愛のパワーで弾き返したんですかね笑。最終戦のシリアスなシーンでは本当にステラ、カガリがコミカルに出てきて愛のパワー的な演出が入っていたので大真面目にそうなのかもしれませんが失笑という感じで見ていました。具体的にどういう設定の能力なのか深掘りしていないのでコミカルにして誤魔化した感があります。
種と種死はほぼシリアスなシーンで構成されていたにもかかわらず、今作は方針を大きく変えて全編ラブコメで真面目な話も特に内容がなく、種死の最後から世界は特に変わらないまま(むしろレクイエムと核ミサイルが地球に降り注ぎ混沌の世界になって)映画が終わっています。
種、種死で議論されてきた、どうすれば世界が平和になるのかという問題に対しての結論を本作で何かしら定義するのだと思っていましたが、結局今作でもそういった話は特に進展せず、全て愛で片付けられてしまいました。それが一番気になっていたのに。
それと数年も経ってないのに主要女性キャラの唇強調して大人っぽくしすぎて可愛くなくなったり、新キャラのテンプレのじゃ系王女とクセ強いブラックナイトの面々はキャラデザが尖りすぎて世界観から浮いてるし人数多いし(その割にあまり深掘りされずシンにまとめて倒されるし)、ラクスの最後のパイロットスーツの無駄に過激(淫紋みたいなのあったよね)でへんちくりんなデザインや一番重要な艦長を船外に露出させるという意味不明なミレニアムの艦長席、最早なんでもありどういう原理?と思ったキラの最後の超必殺技(笑)など、フィクションとはいえさ今までもうちょっと納得感のある感じだったじゃんと頭を抱えたくなる各種デザインの数々が目に付きました。
また最後に超重要人物でパイロット経験のないラクスが無駄にリスクを背負って出撃する理由はないですし自分のエゴでそういうことする性格ではないと思いますし、あそこまで飛ばすだけならたぶんインパルスのバックパックのように遠隔でできる気がしますし、結局フリーダムとの接続は艦側でオペレーターがやっていますし、考えれば考えるほどラクスが乗っていく必要性がないのですが(隣りで承認プロセスをやってましたが艦側でもできそうだし)、きっと最後のシーンありきでラクス乗ってくことにしたんだろうなと雑な脚本ができるプロセスを感じて嫌でした。そもそもこの映画自体が愛というテーマありきで作られたようなのでさもありなんという気もしますが。
総じて、懐かしのキャラをてんこ盛りにして仲良くしてキャッキャさせてラブコメ!ラクスが洗脳NTRされちゃうピンチ!でも愛のチカラでなんか凄い必殺技ドカンとやってハッピーエンドでめでたしめでたしって。。。これが正式な続編で大丈夫?と思って見ておりました。
とはいえ、シリアスやSFや本来のテーマなんてどうでもよくて、エンタメやラブコメで主要キャラクター同士が争わずキャッキャしてハッピーエンドになる話を好む人が多いのは事実で、実際評価も悪くないようですね。
SEEDのキャラたちがラブコメするのは嫌ではないのですが、真面目な続編としての期待値が高かった私のような人が散見されるので、それならOVAにするかいっそタイトルをガンダムSEEDFREEDOM~愛は地球を救う~にするくらい最初からエンタメに振って欲しかった・・・
種と種死とスターゲイザー時間かけて再履修したのにこの珍作を見せられた憤りが拭いきれません。
そして私が世代だった種と種死の最後がこんなふざけた話で終わるのが残念でなりません。