「20年越しでなければもっとひどい評価をしていた」機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 佐藤さんの映画レビュー(感想・評価)
20年越しでなければもっとひどい評価をしていた
///追記///
評価点を下げました。「あ、自分はこの映画を許せてないな」と自覚してしまったからです。よかった点は残しておきます。ほか、細かく修正しています。
///追記///
見たかったガンダムSEEDとはなんか違う。
SEEDのテレビ放映から20年が過ぎてそれなりの年齢になりました。
そうでなかったなら、私はもっと暴れていたと思います。そんなレビューです。
【よかった点】
・「愛」っていうテーマ
役割や能力、要不要で分断される世界の中で、なお「愛」で突き抜けていくさまはむしろ好ましいと思いました。世界の問題は全然解決していませんが、なんか、光明はあるなと。
・キラ周辺の描写
自分の心に正直に、うじうじして爆発してやっと立ち直ったキラの人間臭さいいよね。DESTINYでの超人すぎる彼(とラクス)のことを「なんか、なんか違うんだよな…」って思ってたので。ある種、彼への救いの物語だったのかも。
・メカ描写
フルCGなのに外連味たっぷり、ぼくたちの大好きなSEEDのアクションモリモリで幸せたっぷり。
出てくる機体はおおむねカッコよくて、鑑賞後にそのままライフリとイモジャを買いました。
あと新デュエルと新バスター、ミーティアに合体までさせていただける大盤振る舞いっぷり。ありがとう。
・前半のシリアスな雰囲気
予告編の、陰鬱とした世界でなおも足掻くコンパス、という魅せ方から本編もきっとこの調子なんだととても期待していました。
前半は軽率に大量破壊兵器が飛んだり人間関係がゴチャついたり陰謀が渦巻いたり、おお、ヒリついたC.E.だ!これはSEEDの映画だ!とニコニコ。
そのクライマックスとも言えるアークエンジェル轟沈のシーンは、作品内外を問わずひとつの時代が終わった気がして、いろいろな感情がこみ上げてきました。
良い点を並べてみて
エンタメ面はすごく高得点だなと思いましたし、
絶賛するファンの気持ちもわかります。
【悪かった点】
・ギャグ要素
全部台無しにされた気分です。これまでの加点を吹き飛ばしていきました。
前半の洗脳パートのBGMや効果音(やけに耽美)、唐突なズゴックの登場に「おや?」とは思ったのですが
後半のたたみかけるようなギャグ要素で唖然。なんでこんな残酷なことを。
どうしてもギャグにしたかったのか?
アーサー副長は必要なのか。
あんなエロパイロットスーツ着るラクス、私イヤだよ。
(TV本編でもベッドシーンだの下着だのお色気はありましたが、鬱屈とした空気の醸成にはむしろ役立っていたと思います。裸の主要キャラが出てくるのはSEEDなので別にいいですし、全く出てこなかったらどうしようかと思いました。ギャグエロとして消化されたのがイヤなんだと思います。)
何も考えてないシンは解釈一致だけど、言及のされ方がイヤだよ。キャラクター性が単純化されていた感がありました。
スケベなアスランもそのダシに使われたカガリの姿もなんかしんどいです。アスランもひとりの人間なんだね、とは思ったのですが。
ズゴックにインジャが入ってるのは100歩譲って許すとして、登場するときの「ピカーーッ!」って爆発する演出必要だったかな……無印のデュエルVSフォビドゥンみたいなのでよかったんですけど……
すみません、やっぱりあの「SEED的アレンジの全然ない」ズゴックは嫌です。
一番しんどかったのはステラの扱いだったかも。シンの中の闇ですよ、と言いたいならいっそもっとエゲツないビジュアルにしてやってほしい。もしくは綺麗な姿のままでいてほしかった。
フレイとマユ、レイが不在でしたが、むしろ出なくてよかったかも。
イザークとディアッカはシリアスな空気のままでずっと行ってくれたのでまた株が上がりましたね。
・ファウンデーションほか、新キャラの立ち位置
2時間映画で彼らに尺を割くのはまあ不可能としても、終盤にかけてどんどん自らの格を下げていってしまって、前半の強大さのままキープできなかったのかなと。
レクイエムの照準を変更する理由も無理矢理で、もっとしたたかであってほしかった。
あとは、洗脳や未来予知のメカニズムも特に説明されなかったのがモヤっとしました。ちょっとでいいので理屈をこねてくれ。
デスティニープラン運営のために誂えられたはずの彼らですが、とてもそうは見えなかった。議長泣いてるよ。
青い髪の子は、終始真剣にテーマと向き合ってた気がするので好きです。ただ、上位者らしさがあったかと言うと……。
・マイティストライクフリーダム
強い!!強いのはいいけどベクトルや技術体系が変わりすぎ。謎の雷とか大量破壊ビームとか、おまえはどこの世界のロボなんだ?せめて最強攻撃は赤白のビームで止めておいてほしかった。
単品としてみたらデザインとか結構好きです。キット化楽しみですね。
・終盤の舌戦
クルーゼぐらい舌戦に強い相手がラスボスであってほしかったかも。
迷いを吹っ切ったキラとラクスが語る愛だからこそ、理屈をすっ飛ばしてゴリ押しができるとも言えるのですが、それにしても相手が弱すぎる。
【さいごに】
痛快娯楽映画なら、初めからそうだと明言して欲しくて、シリアスな予告編を打ったならそのまま通してほしかった……が一番です。全編シリアスでも「愛」に着地させることはできましたよね?たぶん。
「騙された!!」って気持ちが強いのかもしれない。