劇場公開日 2024年1月26日

「『元祖覇権アニメ』令和の世に新たな金字塔を築く」機動戦士ガンダムSEED FREEDOM ディアッカ・エルスマンさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0『元祖覇権アニメ』令和の世に新たな金字塔を築く

2024年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

幸せ

ガンダムSEEDシリーズは一言で言えば『覇権アニメ』という概念を作り出した作品と言って差し支えないでしょう。
エヴァ以降7年パッとした売れる作品がなかったアニメ界に突如初代ガンダムをオマージュし、それでいて平成世代以降も惹かれる魅力的なキャラクターが次々と現れ、本能でかっこいいと理解るデザインのメカとそれを活かす演出、『我々は過去何処から来て、今現在何者で、未来に何処へ向かうのか』を考えさせる重厚な脚本構成、ストーリーに完全にマッチした音楽、有名アーティストとタイアップしたOPとED、3か月1クールごとにOPやEDに変化が現れる方式を導入したのもSEEDが初でした
上に挙げたようないわゆる今現在にも通じるような『儲かるアニメビジネスの基礎を構築した記念碑的な作品』がガンダムSEEDシリーズといえると断言できるでしょう
巷では平成のアニメブームを2006年放送の涼宮ハルヒの憂鬱からスタートしたとする意見がありますが
2002年にこのガンダムSEEDから翌年の鋼の錬金術師さらに翌年のガンダムSEED DESTINYの三年間の流れに端を発すると考えるのがもっとも説得力があるといえます

当時のSEED勢いはすさまじく、あらゆる関連商品が飛ぶように売れていました
タイアップしたCD、声優のキャラクターソング、プラモデル、フィギュア、ステーショナリー、土曜の夕方に子供向けアニメで9%近い視聴率を叩き出し、果てはアニメ史上初の配信サービスを開始し好評を得ていました
現代で考えると『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』のムーブメントに例えられると言えます

この作品群に対して批判的な意見を述べる層も少なからず存在しています
ただ、その作品が及ぼす影響を数字に置き換えていくとその人気には疑いがないように見え、ガンダムSEEDシリーズは2000年以降インターネットが発達してから生まれた作品として数字を以ってほかのアニメ作品を圧倒する存在、現代で言われる『覇権アニメ』と言われる最初の存在となったと言って差し支えないと感じます

前置きはここまでにしておきましょう、それではついに本題の映画の内容に関して意見を述べていきたいと思います
ネタばれ要素は極力控えます
本作は現実では20年の時を要しましたが作中では前作から2年経過した状態でスタートします
一般的な人類(以降『ナチュラル』と記載)と
遺伝子調整を受けて優れた性質を発揮しやすい人類(以降『コーディネイター』と記載)
の間の能力格差による憎しみによって引き起こされる戦争がメインの作品であり、今作においてもそれは続いていました
ガンダムSEEDシリーズは前作ガンダムSEED DESTINYを経て3人の主人公を擁しています
ごく平凡な家庭に育ったと信じていたが突如戦争に巻き込まれた優しい青年キラ
キラの幼馴染であり、前前作の対戦の責任者の息子という業を持つ元軍人のアスラン
ごく平凡な生活をしていたがある日家族全員を目の前で殺され怒りと憎しみに狂い復讐に燃える男シン
この三人が前作で交錯し、激しくぶつかり合い、お互いの脚で歩き、自分の目で相手と対話することで最終的に同じ方向を向いて戦うと誓ったのが前作まででした
今作はキラとシンという前作までは一切共に戦うことがなかった二人が初めて一緒に戦うということで今まで想像でしか実現されなかったやりとりが観られてそれだけでも頬がにやけっぱなしのひと時を味わえます
冒頭の5分、西川貴教と小室哲哉氏がタッグを組んだメインテーマ「FREEDOM」が流れながら戦闘を行うシーンがあるのですが、もうその冒頭だけで2000円の鑑賞代金を支払った甲斐があったと満足してしまうほどの出来といえます
その後物語は新たな局面を迎え、メイン主人公であるキラとヒロインのラクスを中心に物語が展開されていくことになります

事前に『この映画はラブストーリーである』と福田監督から情報がでていましたがファンの大多数が懐疑的でした
このナチュラルとコーディネイターの争いによる怒りと憎しみの満ちた作中世界でたった124分のなかでラブストーリーが描けるのかと…
観た結果としては映画界が過去放映したどの作品と比べても恥ずかしくない見事な『ラブストーリー』として仕上がっていたと言って差し支えありません
上映後あまりの感動に、座席から一分間動くことができませんでした
最速視聴会場ではみなが拍手喝采を送り、映画館から出てくる人々の一人ひとりが笑顔で会場を去って行き、「ガンダムSEEDを超えるアニメ体験は存在しない」と改めて感じることができました
前作までで視聴者が観たかったものを見せてくれるサービス精神、そしてそれをはるかに超える斜め上の展開も隠されています(笑)
料理で例えるなら100種の料理が次々と出てくる中国皇帝に供される料理『満漢全席』といえるでしょう

前作までいろいろあり、この作品になんらかのマイナスイメージを持ってる人もいるかとおもいますが、それらは杞憂といえるでしょう
そんなことよりも『この作品を映画館で観ないのは人生における最大の損の一つ』となることは間違いないと断言しておきます、それだけ素晴らしい内容でした

いろいろと語りたいこともあるのですが、皆様の視聴体験を奪いたくないのでこの作品は絶対に観る価値があると述べるに留めておきたいと思います

いままでガンダムに触れたことがなく、アニメの続き物でいきなり映画観るのはハードルが高いと思ってる人もいるかとおもいますが
スターウォーズのように1999年の三部作から観て興味をもって過去作から観始めるという視聴スタイルがあったようにこのガンダムSEED FREEDOMから観始め過去のSEEDシリーズを掘り下げるスタイルも悪くないと感じます
映画部分だけでも起承転結がきっちりとしていて物語として纏まっているので付き添いで来て見ても充分以上に楽しめるとおもいますよ!

この映画は個人的に私の映画史上他と比べて圧倒的にダントツで一番面白い最高の映画ですので
絶対に観てほしいです!
後悔はさせません!!

きっと初めての方でも満足しますので映画館に来て一刻も早く見てくれることを願っております

ディアッカ・エルスマン
ookiniさんのコメント
2024年1月31日

冗談を言ってはいけない。
これ観てから巻き戻しで無印種や種死観たら訳わからなくなりすぎて絶対に楽しめない。
何故なら、無印、種死では設定が全て繋がって矛盾はないが、種フリはそんな前設定全てぶち壊して矛盾だらけにしてしまったから。
そんなのまともに観たら楽しめますかね?

ookini