「囚われの思想」グレート・インディアン・キッチン MARさんの映画レビュー(感想・評価)
囚われの思想
根強く残る男尊女卑の呪縛に苦しみながら、密かに自由を夢見る女性の生きづらさを描いた作品。
まず、謎の「科学に感謝」からの、なかなか映画が始まらないことに戸惑いつつ、見せられるのは只管料理を作る女性と、それを食べては思い思いの時間を過ごす男性の姿。
淡々とした映像が続くものの、不思議と飽きることなどなく、この地の女性の大変さがひしひしと伝わってくる。
色とりどりの野菜を使った料理…普段なら、旨そう~なんて思いながら観るのだけれども。。
これがパートナーに対する扱いなのか。。対価をもらっているという意味では、家政婦の方がマシなのではとさえ思ってしまう。
既にリタイアしているのか、とにかく飯だけ食い続けてグータラしては口出しだけいっちょ前なお義父さんもそうだが、特に印象的だったのは、とにかく陽気な親戚(?)の男の人。
「全部やってあげたのに」って…。全体が見えてないですね。恐いのは、本人は本当にそう思っていそうな所。それだけ、男性は関りがないんですね。
それぞれの地のしきたりや考え方があるので、一概に批判してよいものかはわからないけど、どちらかと言えば変化を好まないワタクシでさえも、流石にこんな扱い方…直ちに変わってほしいなと願うばかり。
それでいて、この思想を支持する女性たちもいるという所も考えさせられますね。
兎に角、観ていてため息がでてしまうような展開はハッキリ言ってポスター詐欺といっても良いほど(笑)加えて、どうでも良いですがインド映画なのに上映時間が100分程って逆に凄いですね。
中々難しいテーマの作品だったと思います。がんじがらめの女性の姿を描いた作品ですが、逆にこの思想に囚われてしまっているのは男性の方なのかな~と思ったり。
このような男尊女卑は正すべきだと思いつつ、女性進出の声も叫ばれて久しいこの頃、個人的には、逆に女性を大切にしすぎても本末転倒だと思っているので、皆が純粋にお互いを思い遣れる世界になればなぁ~と、また夢みたいなことを思ってしまうのです。