「激しく、あまりに短い人生」BILLIE ビリー しゅなさんの映画レビュー(感想・評価)
激しく、あまりに短い人生
誰もが知るjazzシンガー、
ビリー・ホリデイのドキュメンタリー。
独特な歌声が魅力的な彼女の代表曲とも言える
『Strange Fruit(奇妙な果実)』
何気なく聞いていたこの曲に込められた意味を知って
愕然とした。
「私の為に作られた曲です」と感情を押し殺しすように歌い上げる彼女の姿に、震えた。
そして『God Bless The Child』は14歳で家を出る時
母に言われた言葉をそのままタイトルにしたのだそう。
〜神のご加護を受ける子は自分の力で稼ぐ〜
そうしてやがてアメリカ1と言われるjazzシンガーとなったビリー。
けれど、ビリーは黒人だった。
多くの黒人jazz men達がそうであったようにビリーもまた人種差別と薬物との戦いに翻弄される人生だった。
私が知るビリーのポートレートはほっそりとした高齢女性のイメージだったが、なんと、
その姿はふくよかだった彼女が44歳で亡くなる数年前のものだったのだ。
あまりに短く、壮絶な人生。
今作はビリーの伝記の為に10年以上に渡って関係者へのインタビュー取材をしながらも、
突然謎の死を遂げた若きジャーナリスト、リンダが残したテープが発見された事で、
インタビュー音声と実録フィルムを合成して制作されたドキュメンタリー作品。
最後に姉の死に不信感を抱くリンダの妹が語る。
警察は飛び降り自殺と断定したが、
路上で発見された遺体は姉がいつも寝る前にやっていたフェイスマスクをしていた、と。
奔放に激しく生き、歌った、
ビリーの伝記の出版を何者かが阻んでいたのだろうか?
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