劇場公開日 2021年7月23日

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「新鮮な感覚のアニメ」DAHUFA 守護者と謎の豆人間 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0新鮮な感覚のアニメ

2021年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2017年作で、少し前の作品のようだ。
監督にとって、劇場公開は“意外なこと”だったという。

バイオレンスシーンや戦闘シーンが、最初から最後まで続く。
そのため「大人向け」で、中国アニメにおける「“前代未聞”の挑戦」ということだが、日本人が観れば、別にそれほどのものではない。あくまで中国での話だ。
むしろ、単純すぎるバイオレンスが中心で、それ以外の要素にきわめて乏しいために、退屈してしまうことの方が問題だ。

「階級社会への皮肉」を込めているというが、ストーリーは必ずしもよく分からない。
住民の頭にできる豆、宙に浮かぶ“ひょうたん”(これが「黒魔石」なのか?)、主人公“ダルマ”の最強の刺客である覆面の男(?)など、その意味内容が明かされないことが多すぎる。
住民に高度な知性があるのか、会話できるのかなども、曖昧なままだ。

アニメーションのクオリティはそれほど高くないと思うが、世界観に合った良い感じを出している。
ラフなタッチの背景画はアートな香りがするし、アクションゲーム的な展開である。
ガンファイトばかりで、剣術が乏しいのは残念だが、目にもとまらぬスピードで殺されるので、うかうかしていると何が起きたのか分からなくなる。
そのスピード感が、本作の“売り”なのかもしれない。

登場するキャラは、みな立っていて、バリエーション豊かだ。
皇室の守護者“ダルマ”、住民ジャン、覆面の刺客、皇太子、その皇太子に巧みに取り入ろうとする怪しい少年ミン、村の支配者・吉安、宙に浮く丸い“モフモフ”、赤い花になって脳に入り込む変な昆虫。
特に、住民をただのブタだと思って切り刻んできた“肉屋”が、そうではないと知って吐くシーンは面白い。

よく分からないし、単純なガンファイトばかりで、話そのものは決して面白くなかったが、新鮮な息吹を感じさせる作品だ。
自分は、映画「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」よりも、ずっと楽しめた。

Imperator