「私怨」スパイラル ソウ オールリセット U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
私怨
俺はサイコパスではない。
が、SAWの新章は歓迎したい。
今作も最後の最後にパズルがパタパタと組み上がっていく快感は健在で、伏線も含め回収され全く違う様相を示す脚本には驚かされる。
今回は明確な殺害理由と動機があり、粛清よりは復讐に舵を切ったような感じ。だからこそ選択肢は示されるも死という結果からは逃れようのない仕掛けだった。
もう冒頭からエグい。
前作のテイストをガッツリと提示し裏切らない。
ただ、やはり私怨なので被害者の混乱や恐怖を描く時間は少なかった。一か八かではなく、元々が無理ゲーで囚われたら最後、被害者を救済する気など全くないようなシチュエーションでもあった。
そんな事だから、今回の仕掛けには「知性」をあまり感じられなかった。「品格」と言ってもいいのだけれど。
後半に際し、第1作へのオマージュを差し込むとこなんかは小憎らしいが。
ラストの父親を殺害に至る仕掛けは、見事だった。
アレを目の当たりにする主人公の胸中たるや…どんな感情が渦巻いているのやら…。
でも幼少期のウィリアムは声すら上げさせてもらえなかったんだよなあ。しっかり警察側の人間が銃殺するシナリオとか良く出来てるなぁと。
そして、銃が持つ絶対的な決定力に身の毛もよだつ。撃たねば撃たれるのだ。躊躇した結果は死だ。
…銃社会というか、そんなものを手軽に手にできる社会ってやっぱ恐ろしい。
第8条ってのがあるのか無いのか分からないのだけれど、あるとしたら結構な悪法なのだろうなぁ。あそこまで極端な悪用はしないにしろ、出来ないって事でもないのだろうし。ただし、そんな物を作らねばならない程、警察も殉職者が多いのかもしれない。
さて、多分ならば続編を作ってくれるであろう本作。一応の決着はついたものの、どんな展開になっていくのか楽しみである。
ガラスでヤられるピーターだけど、気を失ってる風なのに、ちゃんと2本の足で立ってる感じは頂けなかったなぁ…。