「雷・火事・殺し屋のディザスター欲張りセットを、アンジーが平らげる!🍽😋🍽」モンタナの目撃者 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
雷・火事・殺し屋のディザスター欲張りセットを、アンジーが平らげる!🍽😋🍽
モンタナ州で森林消防士として働くハンナが、殺し屋に狙われる少年コナーを守る為に奮闘するディザスター&スリラー映画。
監督/製作/脚本は『ボーダーライン』シリーズ(脚本)や『ウインド・リバー』のテイラー・シェリダン。
主人公ハンナを演じるのは『Mr.&Mrs.スミス』『マレフィセント』シリーズの、レジェンド女優アンジェリーナ・ジョリー。
殺し屋の1人であるパトリック・ブラックウェルを演じるのは『X-MEN』シリーズや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のニコラス・ホルト。
ハンナの友人でありコナーの父親オーウェンの義理の弟でもある保安官代理、イーサン・ソーヤーを演じるのは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『ベイビー・ドライバー』のジョン・バーンサル。
「看板娘が人気を集めるラーメン屋で、アブラマシマシチャーシュー麺を頼んだらアブラマシマシチャーシュー麺が出てきた」というのが、この映画の率直な感想。
降り注ぐ雷⚡️!燃え盛る山火事🔥!そして迫り来る殺し屋🗡🩸!
そんなディザスターに対し、命を狙われる少年を守りながら決死の戦いを繰り広げるアンジー様💕!
カロリー爆発の超コッテリ欲張りセット!溢れ出る午後ロー感!
まるで実家のような安心感が魅力のザ・洋画!
本作でアンジーが演じるのは「スモークジャンパー」と呼ばれる消防士👩🚒
日本では馴染みのない職業だが、要するに彼らは「山火事のスペシャリスト」。
消防車による消火活動が出来ない山火事では、木々を切り倒して延焼を防ぐという初期対応が肝要。
上空からパラシュート降下し、斧で木々をバッサバッサと伐採することで山火事を押さえ込むという超ワイルドな職業こそ、アンジー演じるハンナが従事しているスモークジャンパー🪂!
当然人命救助のためのレスキュー技術もマスターしており、まさに映画の主人公にうってつけの職業である。
そんなワイルドな職業な為、隊員たちの描写はまさにザ・USA🇺🇸!
「ふあっく」とか「しっと」とか「まざふぁか」とか言い合いながら、真っ昼間からビールを飲んで女をナンパする。
もうこのコテコテのテンプレUSA描写が最高🤣!
凄まじくバカっぽい隊員達だが、アンジーの抱えるトラウマは中々に切実。
見殺しにしてしまった少年たちの幻影に苦しむアンジーが、殺し屋に追われる少年を助けることで過去の呪縛から解き放たれるという構成は、ありがちではあるがやはり盛り上がるしホロッとさせられる。
山火事🔥に殺し屋🗡。
普通ならどっちか一つに絞るはずのスリラー要素を、本作ではごっちゃにしてお届けしてくれる。この欲張り感がサイコー🤩
100分という比較的短めのランタイムながらこの二つの要素がちょうど良い塩梅で混ぜ合わされているため、それぞれのスリラーが中途半端になっておらず、とてもバランスが良い。テイラー・シェリダン監督の見事な手腕が発揮されている。
アンジー様の熱演や北米の美しいロケーションなど、見所は多数あるが、個人的に本作で最高だと思ったのはジャック&パトリックの殺し屋コンビ😎🗡😎🧨
原作だとこの2人は双子の殺し屋という設定らしいが、映画版では先輩後輩的な関係に変更されている。
この変更点、個人的には素晴らしいと思う。
本作で描かれるのは職業人として、プロフェッショナルな意識を持つ人々の姿。
アンジー演じるハンナは自分のミスにより少年たちを殺してしまったと悔いているし、ジョン・バーンサル演じる保安官代理のイーサンは、もうすぐ父親になろうとしているという絶対に生き残りたい立場でありながら、銃を突きつけられても殺し屋の言いなりにならなかった。
さらにオーウェンは殺し屋に命を狙われてでも不正を摘発しようとしており、これらの描写から本作の主要登場人物は高い職業倫理を行動原理としていることがわかる。
このルールはジャック&パトリックの殺し屋コンビにも適用されている。
ここまで職業人としての殺し屋を描いた作品も少ないのでは?と思えるほど、彼らはとにかくサラリーマン。
特に先輩キャラのジャックからは「店長…。エリアマネージャーがお話をしたいと言ってます…。」「あいつ来たのかよ!クソッ!」みたいな中間管理職の悲哀をビンビンに感じる。
冒頭の暗殺シークエンス。
誰もが思ったであろう「この任務2チームに分かれて同時にやったほうがよくない?」という疑問に対し、ちゃんとキャラクターが回答を与えてくれる。
そのアンサーとは、なんと予算をケチられたから!殺しに予算とかあんのっ!?
んでその後のジャックと上司のやりとりが最高。
「いや…、2チームに分けてやらせてくれていたら、こんなことにはなってなかったと思うんですけど…。」
「終わったことを蒸し返すなよてめー!気持ちが足りねーんだ気持ちが!」
「そうっすよね。すみませんでした……。次は絶対成功させますので…。」
この精神論で乗り切ろうとするブラック企業感。ジャックの寂しげな表情に涙が止まらない…😭
この後のジャックが山に放火する場面も爆笑ポイント🤣
「この人マジかよ…(ドン引き)」という若手社員のパトリックと、「なんで俺こんな仕事やってんだろ…(絶望)」という中間管理職ジャック。
もうお前ら転職しろ!
その後も火炎放射器で燃やされたり、イーサンにボコられたりと踏んだり蹴ったりなジャック…。
はっきり言って、彼の死因は過労死デス💀
サラリーマンの悲哀が漂うジャック&パトリックだが、ちゃんと殺し屋としての怖さも備わっている。
特にイーサンの妻で妊婦のアリソンを尋問するシーンは手に汗を握る。
目撃者ノータイム射殺とか、ハンナに対する男女平等パンチとか、なかなかにエグいことを淡々と遂行していく姿はまさにプロフェッショナル。
原作の双子という血縁関係から、職業上結びついた2人という風に変更したおかげで、本作で描かれる「職業人のプロフェッショナル根性」というテーマを反映したキャラクターになっている。
その点でこの改変は成功だし、この殺し屋コンビも良キャラになっていると思います。
ハンナと少年が仲良くなるまでの交流が短すぎることが少し気になったが、このおかげで映画のテンポが良くなっていると思うので、特に問題ではないと思う。
一つ残念だった、というか不満点を挙げるとするならばスモークジャンパーたちの活躍が描かれていないことか。
せっかく面白い職業に着目しているのだから、もっと彼らの活躍シーンを描いてもよかったように思う。
「映画史に残る傑作」とか、「人生を変える一本」とか、そういう類の映画ではない。
今すぐ観なくてはいけない不要不急の映画では決して無いが、とても迫力のある作品だし、ハラハラドキドキさせてくれる。
誰が観ても楽しめるであろう、まさにザ・洋画な一本。こういう作品は映画館で観ると楽しさ倍増!!
今晩は
テイラー・シェリダン監督作品は出来れば、映画館で観たいですね。
ジャック&パトリックの殺し屋コンビをサラリーマンとして、見られた視点は成程と思いました。
ジャックは”こんな土地は嫌いだ・・”と死ぬまで言っていましたよね。余程の高給が約束されていたのだろうなあ・・、と思いながら観ていましたよ。
私は、嫌だなあ・・、例え日当100万でも。
テイラー・シェリダン監督は、弱者と、一見、強者の描き方が絶妙な監督だと思っています。
レビューには書かなかったですが、【自然の脅威の前では、人間の争いなど、チッポケなモノだ!】という、揺るぎないメッセージが、今作でも見事に描かれていたと、個人的に思います。では、又。